女優篠原ゆき子(40)倉科カナ(33)フリーアナウンサー笠井信輔(58)が21日、都内でチーム奥山25周年記念映画「女たち」(田中伸輝監督、6月1日公開)の公開“祈念”イベントでトークショーを行った。当初はこの日に公開予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言で来月1日に延期になっている。

笠井アナは「本来なら今日公開の予定でした。6月1日に無事に公開できるように祈るための“祈念”。長い間、映画の仕事をさせてもらっていますが、祈念は初めてです」と説明した。

主演の篠原演じる美咲は、半身不随の母親(高畑淳子=66)と2人暮らしをしながら、地域の学童保育所で働く、40歳目前の独身女性。自暴自棄になった母親に「あんたなんてうまなきゃよかった」と罵詈(ばり)雑言を浴びせ続けられる生活の中で、倉科演じる養蜂家の親友・香織が唯一の心のよりどころだった。だが、香織も人知れず深い闇を抱え、突然命を絶つ。美咲の心も折れて崩壊へと向かっていく。

篠原は「美咲はとある田舎に住む40歳のパートタイマーで母親の介護をする、日本にも世界にもたくさんいる女性の1人です」。倉科は「香織は養蜂家で、心に闇を抱えています」と役柄を紹介した。

笠井アナは「シンプルなタイトルだけど、すさまじい映画だなと思います。女たちが壊れていく、精神的格闘技ゲームだなと思いました。ここまで女優さんたちのインパクトが強い映画は、近年なかっった。みんながみんな、ストレスを抱えていて出口がない。どこに突破口を見いだしていくのか、いろいろなことを考えさせられる映画です」と話した。

篠原は「とある他の現場で、(製作の)奥山(和由)さんとご一緒させてもらって、突然、『篠原さんの主演映画撮ろうよ』と言われました。真に受けないようにして、信じていなかったんですけど(笑い)。初めて企画がゼロのところから携わった。(コロナ禍で)どうしよう、どんなことになっちゃうんだろうかと思っていましたが、こうやって公開間近になって、うそのような気持ちです」と涙をにじませた。

役作りのため髪の毛を40センチ切ってショートカットにした倉科は「養蜂家ということだけ聞いていましたた。奥山さんと映画祭ですれ違って『いつかお仕事できたらいいね』と言われていました。台本を送っていただいて、表面的なものじゃなく私だけのものを出せるんじゃないかと思いました。香織ちゃんが、女であることを憎んでいるような役柄じゃないかと思ったので(髪の毛を)切らせてもらっていいですか、と」と振りかえた。

篠原は「倉科さんは天真らんまんのイメージで、闇を抱えている香織とは合わないと思っていた。でも、顔合わせで、この人あるかもと(笑い)」。倉科は「誰しも、見ている方は香織ちゃんに共感するところがあると思う。自分自身のやっかいさ、でも切り離せない負のスパイラルは分かる。香織ちゃんと向き合って、昔の自分を見ているようでした。香織ちゃんみたいにお酒をガーッと飲んで、踏み出せば飛び降りてしまうこともできてしまう。そこをどう踏みとどまるかだと思う」と話した。

篠原は「今、コロナ禍で、本当にこの作品も公開できるのか分からない状況でした。そして、もっとシビアな状況の方もいる。でも、明日はいいことがあるかもしれない。その思いをつなげていってほしい」。倉科は「生きることって苦しい。泥臭く生きていくしかない。でも、ひとさじのハチミツのように小さな希望もある。小さな希望を見つけていただけたら」と話した。