元フジテレビでアイドル女子アナの元祖、フリーアナウンサーの寺田理恵子(59)が、今日15日に60歳の誕生日を迎えた。結婚退社、離婚、再婚、夫の死別を経て、14年に仕事に復帰した。今は大きな夢に燃えている。

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2000年(平12)に再婚した後は、フリーで続けていた仕事を辞めた。

「仕事は再婚した夫が、いきなりブチッと切ったんです。『辞めますから』と勝手にあいさつして。結婚したら女性は家庭に入って、男が養うものという意識があったんでしょうね。多少はアナウンサーに戻りたい気もあったけど、それどころじゃなかった。家庭のことや子育てで忙しかったですね」

12年に夫と死別して、14年にアナウンサーとして復帰した。14年ぶりだった。

「アナウンサーには、何の資格もいらないんです。大変さが分かっていたから無理だなと、アナウンサーで復帰する気はありませんでした。それで、主人が亡くなって一般の仕事で就職をしようとすると『あなたのような方は』と、昔の知名度が邪魔になりました。その頃、今所属する生島企画室の会長で、TBSからフリーになった経験を持つ生島ヒロシさんと話をする機会があったんです。そこで『復帰したら』と声を掛けられたんです。生島さんが声を掛けてくださらなかったら、今の私はないですね」

14年ぶりの復帰は生島がパーソナリティーを務める、TBSラジオ「生島ヒロシのサタデー一直線」のアシスタントだった。

「娘2人は喜んでくれました。歌手をしているゆりえが社会人になって、妹は中学生。私が鬱々(うつうつ)とし家にいるのが嫌だったんでしょうね。14年ぶりの復帰は、浦島太郎でした。全く無理です。頑張らなくちゃと前しか見られなくて、ドキドキでガクガクでダメ。舌が回らなくて、そこから毎日、新聞の音読、発声練習、ヨガを始めました。ゼロに戻って、また積み上げるしかありませんでした。体も老化しているわけですから」

今は朗読にはまっている。

「たまにテレビから声が掛かるとドキドキします。映るのが怖いんです。今のテレビは、よく映るから。スマホだと美肌モードが使えるけど(笑い)。朗読は、フジテレビ時代のアナウンサー仲間が『ラブレターズ』という朗読のステージを私が辞めてから始めたのを見て、いいなと思っていました。そうしたら、ゆりえの母校の昭和音大から朗読の教室をやってくれませんかと依頼が来たんです。朗読は楽しいですね」

9月には朗読についての本を出版する予定だ。

「朗読というより『音読』ですね。私の朗読は心と体のためのものなんです。コロナ禍もあって、人と話さないとストレスがたまる。そういう方たちが教室に来る。40代から70代の主婦の方たちや、コロナ禍もあって引きこもりがちになっている方たち。呼吸法から始めて、口を動かすことで表情筋を鍛えて。文字を読んで口に出すという脳トレ。そういうのをまとめた本を出したいと思っています」

(続く)

◆寺田理恵子(てらだ・りえこ)1961年(昭36)7月15日、東京生まれ。聖心女子大を卒業し、84年フジテレビ入社。89年にドラマ演出家との結婚を機に退社しフリーになるも98年に離婚。00年に一般男性と再婚、引退したが、12年に死別。14年にTBSラジオ「生島ヒロシのサタデー・一直線」で仕事復帰。認定心理士資格取得。血液型A。