世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭授賞式が17日(日本時間18日)フランスで開かれた。その冒頭で、審査委員長を務めた米国のスパイク・リー監督(64)が、最高賞パルムドールを受賞したのがフランスのジュリア・デュクルノー監督(37)の「Titane」(原題)だと、間違ってフライングで発表してしまう“大失態”をやらかした。

リー監督は、女性の司会からフランス語に続き、英語で「最初の賞を発表してくださいませんか?」と呼び掛けられると、最高賞パルムドールの発表と勘違いしてしまったらしく「はい、出来ます。パルムドールは『Titane』」と言ってしまった。周囲から「待って、待って!」と止められたが、時既に遅く、同監督はその場に呆然と立ち尽くした。場内には失笑、爆笑と拍手が巻き起こった。

世界の主要メディアが、リー監督の大失態をトップニュースで報じ、ツイッター上では動画も複数、流れた。同監督は昨年の同映画祭で、黒人初のカンヌ審査委員長を務めることが話題となったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止となった。2年ぶりの開催となった今回も審査委員長を引き受け、2年越しで大役に挑んだが、とんでもない“大失態”を演じてしまった。リー監督は、授賞式の最後にパルムドールを発表する際「63年の人生で、2度目のチャンスを得ることを学びました。これが私の2度目のチャンスです。ごちゃごちゃしてしまったことをお詫びします。意図的ではありませんでした」と誤りを認めた。

「Titane」でパルムドールを受賞したジュリア・デュクルノー監督は、93年の「ピアノ・レッスン」で受賞した、ニュージーランドのジェーン・カンピオン監督以来、女性監督として史上2人目のパルムドール受賞監督となった。その他、主要賞の受賞は以下の通り。

・審査員特別賞 「A Hero」(アスガー・ファルハディ監督)「Hytti Nro 6」(ユホ・クオスマネン監督)

・監督賞 レオス・カラックス監督(「アネット」)

・審査員賞 「Ahed’s Knee」(ナダブ・ラピド監督)「Memoria」(アピチャートポン・ウィーラセータクン監督)

・男優賞 ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(「Nitram」)

・女優賞 レナーテ・レインスヴェ(「The Worst Person in the World」)

・脚本賞 濱口龍介監督、大江崇允氏(「ドライブ・マイ・カー」)