世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭授賞式が17日(日本時間18日)、フランスで開かれ「ドライブ・マイ・カー」(8月20日公開)の濱口竜介監督(42)が大江崇允氏(40)とともに脚本賞を受賞した。18年の「寝ても覚めても」以来、3年ぶり2度目のコンペティション部門出品で、邦画初の同賞受賞の快挙を成し遂げた。

「ドライブ-」は、作家村上春樹氏(72)の同名小説の映画化。西島秀俊(50)演じる舞台俳優が、脚本家の妻が秘密を残したまま突然死した2年後、広島で寡黙な専属ドライバーと出会い、目を背けていたことに気づかされる物語。短編集「女のいない男たち」に同作とともに収められた「シェエラザード」「木野」も投影した。濱口監督は会見で「村上さんが書かれた物語の登場人物の魅力を決して損なわないようにと考えた。原作を何度も何度も読み、要素がインプットされたら一気に流し込むように書くことを繰り返した」と脚本作りを説明した。

昨年のベネチア映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞した恩師・黒沢清監督の「スパイの妻」で企画と脚本を担当。今年3月のベルリン映画祭では監督作「偶然と想像」で審査員大賞(銀熊賞)を受賞し、これで世界3大映画祭で2冠となった。上を目指すか? と聞かれ「ないです。作りたいものを作って、結果として映画祭と賞がついてきたら、こんなにありがたいことはない。(コロナ禍の)状況が落ち着いたら海外で撮りたい」と語った。【村上幸将】