84歳で亡くなった笑福亭仁鶴さんの筆頭弟子、笑福亭仁智(69)が30日、大阪・天満天神繁昌亭でスタートした「15周年記念特別公演」の初日、昼席でトリを務め、マクラで師匠の定番ギャグ「どんなんかな~」を披露。大きな声で、勢いよく演じ「これはもう、(師匠を)超えてると思います」と言い、笑わせた。

仁智は、ネタ「出前持ち」に入る前、マクラで師匠の死去に触れた。

「弟子として、少しでも芸を継承していこうと思っております」。生前の仁鶴さんへの声援に対し、客席に向かって「この場をお借りして、お礼を申し上げます」と感謝もした。

戦後、没落しかけた上方落語を、復興させたのが6代目笑福亭松鶴さんら「上方四天王」なら、そのすぐ下の世代で、松鶴さんの筆頭弟子だった仁鶴さんは、全国へ「上方落語」を知らしめた功労者。伝統を守り、わかりやすく伝えた高座での姿に加え、テレビ司会者、タレント業、ラジオDJでも人気を博し、マルチな才能で、盤石な地位を築き上げた。

上方落語における仁鶴さんの功績は甚大で、その筆頭弟子になる仁智にとってはプレッシャーも大きい。その覚悟を、師匠のギャグを使って表した。

「ひとつだけ受け継いだ芸がございます」と、自ら振って「どんなんかな~」。師匠のギャグを再現し「もう、これは(師匠を)超えてると思います」と自画自賛する形で、師匠の芸継承と自身の精進への誓いに代えていた。