第43回ぴあフィルムフェスティバル2021コンペティション「PFFアワード2021」表彰式が24日、都内で、開催され、東盛あいか監督(23)の「ばちらぬん」がグランプリに輝いた。

石井岳龍監督、黒沢潔監督、園子温監督らを輩出した、映画監督への登竜門とも呼ばれる同アワード。今回、489本の応募から入選した18作品が映画祭で上映され、グランプリなど各賞が発表された。

「ばちらぬん」は、主演も務めた監督の地元、沖縄・与那国島を舞台に、フィクションとドキュメンタリーを組み合わせて描いた土地と人々の物語。タイトルは、同地の言葉で「忘れない」という意味だ。

審査員を務めた池松壮亮(31)からタイトルを読み上げられると、東盛監督は、悲鳴にも似た歓声を上げ、壇上へ。止まらぬ涙をぬぐい、時折声を詰まらせながら「『ばちらぬん』という言葉は、私の地元の日本最西端の小さな島の言語で、消滅危機言語でもある言葉で、『忘れない』という意味があります。この映画のことを、皆さんによんでもらえる度に私はうれしく思い、この映画で誓った忘れないということが、少しずつ、未来に何かを運んでいけるんじゃないかって、強く思いました」と作品への思いを口にした。

当初は、島でオールロケで全フィクションで撮影する予定だった。しかし、コロナ禍で企画変更を余儀なくされ、フィクションとドキュメンタリーを掛け合わせるスタイルに挑戦したという。監督と主演を同時にこなすのは初めてだったといい「自分のふがいなさに、日々ちょっとずつ、そがれていく感覚もあったんですけど、完成することができて皆様に見ていただくことができて本当にうれしく思います」と改めて笑顔を見せた。

映画祭の開催に感謝しつつ「一緒に『ばちらぬん』を作ってくれたみんなと、島にいるみんなに、早く伝えたいです」と言葉を弾ませた。

準グランプリを中塚風花監督の「グッバイ!」、審査員特別賞を岡田詩歌監督の「Journey of the 母性の目覚め」、岩崎敢志監督の「転回」、蘇■淳(す・ゆちゅん)監督の「豚とふたりのコインランドリー」、エンタテインメント賞(ホリプロ賞)と映画ファン賞(ぴあニスト賞)を大野キャンディス真奈監督の「愛ちゃん物語ハート」、観客賞を加藤紗希監督の「距(へだ)ててて」がそれぞれ受賞した。

※■は金ヘンに玉