今から28年前にすぎやまさんをインタビューした。「ルーラ」という新人女性デュオが「結婚ワルツ」という曲を発売することになり、作曲者として立ち会ってくれた。原曲になったのが、前年に発売され300万本近いヒットとなっていたゲームソフト「ドラゴンクエスト4」のすぎやまさん作曲のエンディングテーマ曲という縁だった。

思わぬレジェンド作曲家の登場にビックリした。ものごころついた時からザ・ピーナッツ、グループサウンズの音楽に親しんだ身にとって、その偉大さは身に染みている。少しも偉ぶることなく、曲について、そして“ゲーム音楽”というジャンルの意義を丁寧に説明してくれた。

薄い色のついたメガネに上品なダブルのスーツで、いかにも業界人というかっこ良さもあったが、大物ぶらずに自分の愛する音楽、ゲームについて語る姿勢にしびれた。当時の年齢は61歳。昭和の音楽界のレジェンドが、平成の時代になって新しいジャンルに精力的に取り組む情熱に感動した。ありがとうございました。【小谷野俊哉】