菅田将暉(28)原田美枝子(62)が来年9月9日公開の映画「百花」(川村元気監督)でダブル主演することが1日、分かった。

菅田は11月15日に女優小松菜奈(25)との結婚を報告後、初の新作主演映画の発表となった。原田と菅田は初共演。

映画プロデューサーとして「告白」「悪人」「君の名は。」など多数の映画を製作してきた川村元気氏の同名小説が原作で、ふたりで生きてきた親子の、愛と記憶と、忘れられない事件を巡る物語。

監督・脚本は原作を手掛ける川村氏が自ら担当する。

菅田は川村氏と、映画「何者」「キャラクター」や声優を務めたアニメ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」などでタッグを組んできた。「世界中を飛び回り常に新しいものを探し続けるその姿勢に、どこか超人めいた華やかさを感じていました」と川村氏を敬慕し「こんなにも小さな、小さな小さな物語。誰もが通る、親子の、家族の、あせていく記憶の世界。どうしようもない人間の性があふれていて、原作小説を読みながら気づいたら泣いてました」と振り返った。

菅田は、社内結婚をしてまもなく子供が生まれようとしている日常から一変し、記憶を失っていく母を目の当たりにし、向き合い始める葛西泉を演じる。先日結婚したこともあり、役柄と重なる部分があったのだろう。川村氏は、「『自分もいつか父親になるのかな、なれるのかなって』そういう話をしましたね。自分の近未来をみているようなところはあったような気がします」と明かした。

原田はすべてを忘れていくなか、さまざまな時代の記憶を交錯させていく母・葛西百合子を演じる。

昨年、認知症になった自身の母にカメラを向けたドキュメンタリー映画「女優 原田ヒサ子」で監督を務めたこともあり、重なる境遇があったといい「この本をすごく面白く読ませていただきました」とコメント。演じた役柄については「当たり前だったことが次の瞬間分からなくなる、記憶を失っていく様をリアルにみせていくのは、非常に難しく大変でした」と苦労を明かした。

菅田との共演には「最初は個性の強い方という印象だったんですけど、話し始めたらすごく素直で頼れる方で、たくさん支えてもらいました」。

撮影は、ワンシーンを途中でカメラを止めずに撮影する「ワンシーン・ワンカット」の手法で行われた。 なかには7分の撮影を20テーク以上重ねることもあったという。菅田は振り返り、「一生忘れられないテークが生まれた。原田さんとふたり、ボロボロになりました。ふと思い出してはニヤニヤしています」。

川村氏は「相当俳優に負担をかけたと思う。でも前向きに付き合ってくれた。すさまじいポテンシャルでしたね」と2人の熱量に脱帽した。原田は「なかなかOKが出なかったシーンのロケで、ふと空を見た時、黒澤(明)さんや溝口(健二)さん、私の恩師である増村(保造)さんたちが並んで見守ってくれているような、不思議な感覚を味わいました」と過酷な撮影の日々を振り返りつつ「みんなで魂を込めて作った作品です。楽しみに待っていてください」と呼び掛けた。