東宝ラインアップ発表会見が15日、都内の本社で行われた。席上で、東京オリンピック(五輪)公式記録映画の監督を務める、河瀬直美監督(52)が撮影し現在、製作中のドキュメンタリー映画「東京2020オリンピック(仮)」を、22年6月に全国公開すると発表した。

「東京2020オリンピック(仮)」は、河瀬監督が18年秋に東京五輪公式記録映画の監督に就任後、新型コロナウイルスの感染拡大による大会の1年延期など、激動の日々を見つめ、フィルムに刻み込んできた。大会開催までの道のりだけで、400時間超も撮影し、開幕後は各競技を追いかけ、取材と撮影、製作を続けてきた。

製作は木下グループが行ってきたが、1964年(昭39)に開催された最初の東京五輪を記録した、市川崑監督の映画「東京オリンピック」に続き、配給は東宝が行う。東宝の上田太地企画調整部長(52)は「招致が決まった時、前回、市川崑さん(の映画)をやらせていただいたので、チャンスがあるならトライしたいと話した。いろいろなところから情報を頂き、木下グループさんが作られると…JOC、IOCとコミュニケーションを取っていた。ぜひ、やらせていただきたいと」と、木下グループに配給を打診した経緯を語った。

上田氏は公開を6月にした理由について「河瀬さんは、いろいろ(ルートを)持っていらっしゃる。可能であれば、良いタイミングなのではないか?」と、コロナ禍の前までは通常、5月に開催され、河瀬監督も縁が深い、世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭への出品を期待してのことだと示唆した。開催の是非まで問われ、国民の関心も高かった東京五輪を描いたドキュメンタリー映画であることを考慮し、上田氏は「学校回りも含め、違った手法で宣伝していきたい」と語った。

市川監督の「東京オリンピック」は大会翌年の65年3月に公開され、19501万人を動員。その記録は、01年の宮崎駿監督のアニメ「千と千尋の神隠し」まで36年間、破られなかった。公開規模について、東宝の松岡宏泰取締役(55)は「我々が製作しているわけではなく、作っていただいている最中なので、作品を見て、どういうやり方が1番良いか、研究していかなければならない。ただ、日本の人たちが今年1年、注目したイベントの1つ。その表と裏を全部、撮られた方が、どんな映像を出すのか期待を持っている方は、たくさんいらっしゃると思うので、状況を見ながら1番適切な場所、スクリーンを研究したい」と語った。