18日に札幌市のホテルで、35歳の若さで急逝した女優神田沙也加さんが21日、同市内の斎場で荼毘(だび)に付された。

父で俳優の神田正輝(71)と母で歌手の松田聖子(59)は、沙也加さんと最後の対面をし、近親者のみの密葬が執り行われた。2人はそろって、斎場で気丈に取材に応じ、「ありがとうございました」と目を潤ませながら頭を下げた。

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火葬を終えた直後の午後5時すぎ、正輝は遺骨を抱き、聖子は「神田沙也加」の名が刻まれた位牌(いはい)を手に、斎場の会見スペースに現れた。2人とも泣きはらしたのか伏し目がちな視線で、聖子は時折、目頭を押さえ、マスクの奥でつらそうな表情を見せた。

最初に2人で一礼。続けて正輝が「大変申し訳ございません。ありがとうございます。本当に身内の近親者のみでお別れを、そして納骨というか、お骨にすることができました。皆さんご協力ありがとうございました」と報告。「ただあまり、今2人とも話すようなことではないので、しばらくの間、そっとしておいていただけたらありがたいと思います」と、声を絞り出し、再び頭を下げた。

続けて聖子が「本当に皆さん、お寒い中、申し訳ございませんでした。ありがとうございます」と震えるような声で話すと、2人そろって2度、深々と頭を下げた。

聖子は前日20日に札幌入り。この日午後2時半過ぎに斎場入りした際は、小雪が舞う中、霊きゅう車の助手席に乗り、位牌を手にしていた。顔は上げていたが、ぼうぜんとした表情だった。

最愛の娘の悲報は、18日、東京でのディナーショーの後で知らされた。人目もはばからず号泣し、聖子の所属事務所は「松田は現実を受け止めることができない状態」と発表。19~20日の東京の残り公演と、23~26日の大阪公演も中止が決まった。

正輝は20日に札幌に到着した。悲しみと疲れが色濃くにじんでいた。近年、沙也加さんは正輝に何かと相談するなど、良好な父娘関係だったという。聖子は確執が伝えられた時期もあったが、沙也加さんの活躍は2人で心から喜び、沙也加さんも2人を思っていた。「離れていても、家族全員が幸せならいい」と話したこともあった。

関係者によると、遺骨は聖子が東京に持ち帰ったという。この日は正輝の71歳の誕生日でもあった。3人が久しぶりにそろう日がこんなに悲しいものになるとは。愛情をいっぱい注いでくれた両親に見送られ、沙也加さんは天国へ旅立った。

 

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