昨年大みそかの「第72回NHK紅白歌合戦」第2部(午後9時)の平均世帯視聴率が、関東地区で34・3%(関西地区35・0%)を記録し、紅白史上最低だったことが2日、ビデオリサーチの調べで分かった。前年の40・3%から大きく6・0ポイント下げ、最低を記録した19年の37・3%をさらに下回った。第1部は31・5%(関西地区31・1%)で、前回から2・7ポイントダウン。個人視聴率は第2部で24・8%(関西地区24・9%)だった。

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「目玉アーティスト不在の紅白」といわれていたが、その結果は数字に如実に表れた。コロナ禍のステイホーム効果で2年ぶりの大台回復となった前回20年の40・3%から6・0ポイント下げ、第2部は34・3%を記録。第1部と第2部に分ける2部制となった89年以降で最も低く、紅白の視聴率データが残る62年(第13回)までさかのぼっても最低の数字となった。これまでの最低記録だった前々回19年の37・3%からも、3・0ポイント下げたことになる。

本編では東京五輪以降SNSを中心に起きた「マツケンサンバ待望論」に応える形で、松平健(68)が「マツケンサンバ2」で企画枠に登場。20年よりステージ上に多くのアーティストが集まり華やかに。劇団ひとりが出演した五輪開会式のオマージュ映像でネットを沸かせるなど、演出もおおむね評判はよかった。

企画が好評の一方で、肝となる歌唱シーンのヤマ場の少なさは否めなかった。前回初出場した瑛人「香水」のようにその年を代表する曲があまりなく、活動休止直前の嵐のように視聴者が「ここは見逃せない」と思う目玉アーティストも少なかった。ネット発のまふまふやAwesome City Clubなど若者人気の高い初出場組もいたが、テレビを最も見る高齢者層の心をつかめたかは不透明。裏番組として例年強力なライバルとなる日本テレビ系「ガキ使」特番はなかったが、民放全体を見ると数字を下げており、紅白の視聴率を押し上げる要素にはならなかった。テレビ離れも背景にありそうだ。

今回は「紅」「白」「総合」と分けていた司会を全員「司会」に統一する新たな試みを実施。メイン会場を初めて東京国際フォーラムとし、2年ぶり有観客開催となった。さらに松田聖子の出場辞退などトピックはいくつかあったが、数字にはつながらなかった。放送時間を通じて平均でどれだけの人が視聴していたかを示す「平均視聴人数」も20年の3494・7万人から513・7万人減少し2981・0万人となった。