米ニューヨーク市で10日、トランプ前大統領を誘拐して殺害すると脅迫した罪で72歳の男が逮捕、起訴されたことが明らかになった。複数のメディアが報じており、ブルックリン地区の検察によると容疑者は、2000年7月から21年12月にかけてトランプ氏を「殺害、誘拐、暴行する意図」を持ってシークレットサービスを含む法執行機関に対して複数回脅迫した容疑がかけられているという。

起訴状によると、容疑者はシークレットサービスに電話をかけ「トランプと配下のサル12匹(連邦議員12人)を殺す」などと脅迫するメッセージを留守番電話に残した上で35万ドルの報奨金について言及し、さらに昨年11月にもトランプ氏を「ヒトラー」と呼び、「彼の死のためならなんでもする」など繰り返し脅迫していたという。また、2020年7月に米連邦議会警察による任意の事情聴取に応じた際にも、トランプ氏が大統領選で敗れたにもかかわらず退任を拒否した場合は「武器を入手して、引きずりおろす」と述べていたことも報じられている。「誰も傷つけたくはないが、ファシズムに立ち向かう。神が彼を引きずり下ろすことを真に願う」などと語り、いかに簡単に銃を入手できるか自慢していたとも伝えられている。

直近では昨年12月にもシークレットサービスに電話をかけており、22口径の銃を所持していたことがあると語り、「投票が無意味であるなら、新たな南北戦争が勃発する可能性がある」と話し、政府に対して武力行使することが正当化されると主張していたという。

同容疑者の弁護士は、誰かを傷つける意図はなかったと話し、「トランプ前大統領によってもたらされた民主主義への脅威として彼が見たものに、どれほど取り乱されたのか表現しただけ」とコメントしている。トランプ氏の代理人並びに弁護士からは、この件に関してコメントは出されていない。(ロサンゼルス=千歳香奈子)