世界3大映画祭の1つ、ベルリン映画祭のエンカウンターズ部門に、三宅唱監督(38)が監督、脚本を手掛けた新作映画「ケイコ 目を澄ませて」(今年公開)の出品が決まった。19日、同映画祭事務局が発表した。

「ケイコ 目を澄ませて」は、聴覚に障がいを持ちながら日本で初めてプロになった女子プロボクサーとして知られる、元プロボクサー小笠原恵子氏の自伝「負けないで!」が原案。岸井ゆきの(29)が、生まれつき難聴ながらプロボクサーとなった主人公小河ケイコを演じた。また、ケイコを指導していく中で、視力を失っていくトレーナー笹木克己を三浦友和(69)が演じた。

エンカウンターズ部門は、20年より新設されたコンペティションで、新しい視点を含む大胆な作品や革新的な監督の発掘に重きを置き、優れたインディペンデント作品や多様性のある物語が選出。「ケイコ 目を澄ませて」が受賞すれば、同賞で初の日本人監督の受賞となる。

岸井は「映画が好きで、すがりついて、幾度となく救われてきました。その舞台に俳優として立てるということ、言葉では言い表せない熱いものがあります。ひとまず、嬉しくて嬉しくて溢れんばかりの感謝となみだ。海を越えて言語を超えて、皆様に届きますように」と出品を喜んだ。

三浦は「小さな作品がベルリンに旅します。監督とスタッフ、出演者。我が子の旅立ちを誇らしく送り出します。より大きく育って皆さんに見て頂けるよう願っています」とコメントした。

三宅監督にとって19年に「きみの鳥はうたえる」がフォーラム部門に出品されて以来、監督作としては2回目のベルリン映画祭出品となる。「国際映画祭とは、普段は異なる環境や言語で生きる人々がともに、スクリーンに映るもう一つの宇宙をはじめてみつめる、出会いや遭遇の場でもあると受け止めています。本作は製作中からたくさんの新たな出会いに恵まれました。このたび初上映となる機会に冠された『エンカウンター』という言葉に、良い縁を感じています。多くの方が、最高に素晴らしい役者たちに出会い、驚く日が楽しみです」とコメントした。