檀れい(50)が、水谷豊(69)の映画監督作第3弾「太陽とボレロ」(6月公開)で映画に初主演する。

劇中では、音大を出たものの音楽の道をあきらめ、家業を継ぎ、地元で楽団を主宰する女性を演じ「水谷豊さんの監督作品ということで、お話をいただいたときは、本当に飛び上がるほどうれしかったです」と喜んだ。

檀が演じる花村理子は、楽団の主宰者として解散の危機に奔走する役どころだ。「弥生交響楽団存続のために奔走する女性、親から受け継いだ家業も抱えています。とにかくいろいろなことを1人で背負って頑張ってしまう理子さんに共感しましたし、自分のことよりも周りのことを考えて行動している女性だと思いました」と役どころへの印象を語った。

水谷は「花村理子は、物語が展開する中でいろいろな人と出会って、いろいろな顔を見せてほしいと考えていました。檀れいさんのお名前がひらめいたのは、脚本を書き進めていた時でした」と脚本執筆中に檀の顔が浮かんだと語った。その上で「まだ、キャスティングは一切考えていなかったのですが、途中のあるシーンで、ふと彼女の顔が浮かんだのです。他のシーンでは、まだ自分の中の、架空の人物のイメージしかなかったのですが、なぜかそのシーンだけ鮮やかに檀れいさんが浮かんできました。ご縁があり、実際、理子というキャラクターを演じてくださることになって、まずは本当にうれしかったです」とキャスティング時の思いを振り返った。

水谷は脚本制作の段階から、本物のオーケストラの魅力を映画に取り込みたいと構想していた。その中で、世界的な指揮者として知られる西本智実氏のコンサートを訪れ、クラシックの世界について話を交わすうちに、水谷が作中で奏でられる「ボレロ」の指揮演奏をオファー。作品のテーマと水谷の思いに共鳴した西本氏は快諾し、自身初となる映画音楽監督を引き受け、イルミナートフィルハーモニーオーケストラが演奏に参加する。

檀は、そうして出来上がった水谷の台本について「オーケストラの話を主軸に進んでいくので、どういうところに音楽が流れ、どういう物語になっていくのか読むだけでわくわくしました。映像では自分たちが演じたあとに音楽がのりますが、それがどういう風に私たちのお芝居をさらに盛り上げていくのかなということを思いながら読んでいました」と評した。その上で「撮影に入る前に監督が『やりすぎずやらなさすぎず』とおっしゃっていて、私自身はやりすぎちゃうタイプではないですけれど、今まで受けてきたオファーの中では結構涙のシーンが多かったりだとか追い詰められたりだとか感情の起伏を出して欲しいと求められることが多かったので、今回は『やりすぎず』ということに気を付けて理子を演じました」と、水谷の監督としての演出の一端を明かした。

檀は、宝塚歌劇団所属時には月組、星組それぞれでトップの娘役に抜てきされ、数多くの舞台で活躍してきた。退団後は、06年の「武士の一分」でヒロインを務め「母べえ」(08年)「感染列島」(09年)、「劇場版 奥様は取り扱い注意」(21年)など、さまざまな映画、作品に出演してきた。そんな檀だが「撮影現場は、台本では想像できないようなキャラクター作りや見せ方のシーンもあって、その都度驚かされましたし、それが楽しくてワクワクしながら撮影に挑んでいました。自分の撮影が無い日でも現場にいたのは、もしかしたら、今回が初めてなのかもしれないです。でも、そのくらい大好きな現場でした」と「太陽とボレロ」とボレロの撮影現場に新鮮さを感じたという。そして「役者の生理も全部分かっていらっしゃる水谷さんが撮る監督作品ということで、そこが私にとって一番緊張したかもしれません。なので、私にとっては水谷さんの『OK』が全てでした」と、水谷への絶対的な信頼をのぞかせた。

一方、水谷は「撮影していく中で、イメージ通りであることはもちろん、ご自身の中に華やかさを持っている方だと改めて感じました。つらいシーンの時も、楽しいシーンの時も、その華やかさを映画に加えてくださり、『太陽とボレロ』という作品が、より豊かなエンターテインメントになったと感じています」と檀の主演に太鼓判を押した。その上で「この作品を通して檀れいさんの華やかさに加えて、彼女のユーモアにあふれたチャーミングな一面も味わっていただけるとうれしく思います」と期待した。