「レミたん」の愛称で、動画アプリ「TikTok」でフォロワー470万人超えと人気の土井レミイ杏利(32=ジークスター東京)が、15日に初の書籍「レミたんのポジティブ思考」を発売した。昨夏の東京オリンピック(五輪)では、ハンドボール日本代表主将として33年ぶりの勝利に貢献した現役選手。愛くるしいキャラクターの素顔に迫った。

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彫りの深い端正な顔立ちとコミカルな表情のギャップが受け、若者を中心にレミたんは大人気だ。取材中も何度も屈託なく笑う。

「自分で言うのは恥ずかしいですけど、動画を見直して、自分で笑ってます。こいつアホやと(笑い)」

TikTokは、仏でプレーしていた18年夏に、友人に誘われて始めた。最初は友人たちを笑わせるためだけに投稿していたが、ある日、パーカーの腕部分に足を出して、音に合わせて踊る動画がバズった。

「もともと人を楽しませるのは好き。アスリートなので、何かやると決めた時は、質の高いものを…と研究して始めましたが、まさかバズるとは…」

それまでもインスタグラムなどSNSは活用していたが、チャンスと考えた。

「フォローしてくれるということは、興味を持ってくれるということ。フォロワーが増えた段階で、実はハンドボールをやっていて…という方がいいなと思ってやってきました」

大学卒業後、けがの影響でハンドボールは一度“引退”して仏に渡った。仏のチームで復帰後は、人種差別を受けたことも。今回の書籍ではそんな半生を赤裸々につづっているが、ポジティブに変換してきた。

「僕自身がポジティブな人間なのかは分からないです。でも結果に対して、立ち止まって考えて、いろいろな選択肢の中からポジティブな方を選択してきました。それが習慣になると、自然と前向きになって、毎日が楽しくなっていくと思います。今回の本も、読んでいただいた方に活力を与えられたらうれしいです」

幼少期から実は大の読書好き。今でも「しゃべると意外としっかりしているんですねと言われます。そうじゃないと主将は任されないです」と笑うが、レミたんはそんな世間とのギャップすら楽しんでいる。【大友陽平】

 

○…土井はこの日、日本ハンドボールリーグの湧永製薬戦に出場したが、チームは敗れた。五輪後に、代表引退を表明。「セカンドライフの準備ができたら、いつ引退してもいいとは思っている」と話しつつも、「今の目標はチームを日本一にすること。(24年のプロリーグ化に向けても)その場にはいたい。将来的にはハンドボールが日本でもっと身近なスポーツになったら」とまだまだ走り続ける。

 

◆土井レミイ杏利(どい・れみい・あんり)1989年(平元)9月28日、千葉県生まれ。フランス人の父と日本人の母の間に生まれ、小3からハンドボールを始める。浦和学院、日体大をへて仏リーグでプレー。16年から代表入りし、東京五輪では主将として全5試合に出場。今季から「ジークスター東京」でプレー。特技はスピンシュートとダンス。18年8月に始めたTikTokで、フォロワーは現在470万人超え。180センチ。血液型A。