宝塚歌劇団の雪組が伝統の和物に臨む「夢介千両みやげ」「Sensational!」が19日、兵庫・宝塚大劇場で開幕。雪組トップ彩風咲奈は、前回本拠地作の冴羽リョウ(リョウは狩の守が僚のツクリ)(CITY HUNTER)から一転、宝塚では異色の主人公、日本一のお人よしキャラにふんし、ショーでは華やかなダンスを披露した。

前日18日まで2日間の舞台稽古を終えると、彩風は「まずはここまでこられてとても幸せです」。コロナ禍を乗り越え、初日を迎えられることに感謝。「元気に最後まで駆け抜けたいと思います」と誓い、幕開けに備えていた。

芝居は「桃太郎侍」などで知られる山手樹一郎の代表作のひとつを舞台化。彩風は小田原の庄屋の息子、夢介を演じた。けんか嫌いでお人よし、そしておせっかい…。宝塚王道の男役とは一風変わったキャラクター。父からもらった1000両を手に、江戸へ道楽修行に出る設定で、道中起こるハプニングを「金」と「優しさ」で解決していく。

開幕前の取材で、彩風は「今のこの世の中には新鮮なお話だと思う」。演出の石田昌也氏からは、NHK大河ドラマ「西郷どん」に主演した鈴木亮平をイメージするよう言われたといい、人の「温かみ」「大きさ」を意識して、役作りに励んできた。

夢介が道中出会う女スリお銀には、トップ娘役の朝月希和がふんし、押しかけ女房を熱演。2番手スター朝美絢は、遊び人飛脚屋の若旦那伊勢屋総太郎を軽やかに表現。進境著しい縣千は遊び人金さんを演じた。

本拠地作では今作から、人気スター和希そらが宙組から移り、芝居では、お銀の仲間で狂言回しを好演。歌、ダンス、芝居と3拍子そろった技量を発揮し、ショーでは彩風とも組んだ。

また、今作で退団する綾凰華は、ショーでも見せ場があり、華麗なパフォーマンスを披露した。

宝塚大劇場公演は、4月18日まで。東京宝塚劇場は5月7日~6月12日の予定。