4部門にノミネートされた「ドライブ・マイ・カー」が国際長編映画賞を受賞した。邦画では、09年の「おくりびと」(滝田洋二郎監督)以来13年ぶりの快挙となった。

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濱口竜介監督(43)は主演の西島秀俊(50)霧島れいか(49)岡田将生(32)らと抱き合った。そして登壇すると、オスカー像を手にして、まじまじと見詰め、英語で「ありがとうございます。アカデミーの皆様に感謝申し上げます。『ドライブ・マイ・カー』を米国へと持って来ることが出来ました」とスピーチした。

さらに、スピーチは日本語と英語が入り交じり「また…ちょっと待って、ここにいる俳優の皆様…西島秀俊さん、霧島れいかさん、岡田将生さん…おめでとうございます! そして…and、ここに来られなかった俳優の皆様に感謝申し上げます。三浦透子さん…」と会場に来られなかった三浦に呼びかけた。そして「三浦さん、取りました!! ありがとうございます!!」と日本語で歓喜の声を上げ、両手で頭上にオスカー像を掲げた。

「ドライブ・マイ・カー」は、邦画初の作品賞と脚色賞(濱口監督と共同脚本の大江崇允氏)、監督賞、国際長編映画賞の4部門にノミネート。米アカデミー賞の前哨戦として知られるゴールデングローブ賞で、市川崑監督の「鍵」(59年)が60年に旧名称の外国語映画賞を受賞して以来、邦画では62年ぶりに非英語映画賞を受賞。全米批評家協会賞でも作品賞、監督賞(「偶然と想像」と併せて)、脚本賞、西島がアジア人初の主演男優賞と主要4冠を獲得し、米国内でも評価が高く、国際長編映画賞受賞の最有力候補と目されていた。

アジアの映画が作品賞、監督賞、国際長編映画賞にトリプルでノミネートされるのは、20年に非英語作品として初の作品賞をはじめ監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4冠を獲得した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」以来2年ぶり。日本人監督の監督賞へのノミネートは、66年「砂の女」の勅使河原宏監督、86年「乱」の黒澤明監督以来36年ぶり3人目。