次世代のお笑いスターとなる芸人を発掘するコンテスト「ツギクル芸人グランプリ 2022」決勝が21日、東京・台場のフジテレビで行われた。11日未明に61歳で亡くなったダチョウ倶楽部の上島竜兵さんが「ラストサン(最後の息子)」と言ってかわいがった、所属事務所「太田プロ」の後輩漫才コンビ、ストレッチーズが優勝した。

ファイナルステージには、他にGパンパンダ、ネギゴリラの計3組が進出。ストレッチーズとGパンパンダが審査員票を5票ずつを獲得して同点。一般審査員の票を獲得したストレッチーズが優勝となり、賞金100万円を獲得した。

ボケの福島敏貴(30)は「上島さんにはお世話になって、最後までかわいがっていただきました。太田プロに所属した、ここ5年はよく飲みに連れて行ってくれました。会う度に『お前たちは売れる。今はネタを頑張れ』と励ましてくれた。今はシンプルに『優勝しました』と伝えます」と声を詰まらせた。

上島さんを後輩芸人たちで囲んで酒を飲む「竜兵会」にも誘われ、コロナ禍のこの2年は毎週のようにZoomを使ったオンライン飲み会にも参加した。“最後の竜兵会会員”は「賞金で上島さんが大好きだった(焼酎の)黒霧島を買って帰ります」と目を潤ませながら笑顔を見せた。

ツッコミの高木貫太(30)は「『優勝はストレッチーズ』と言われても、最初はなんのことか分かりませんでした。こうやって取材を受けていると芸能界にいるんだなと思いますね」と実感を口にした。

過去2回はコント芸人が優勝。福島は「漫才での優勝は難しいから、400から500本あるネタの中から、一番強いネタを2つ持って来ました。それでも、優勝が出来てびっくりです」。そして賞金が10倍の1000万円の暮れのビッグタイトル、M-1グランプリについて「今年は優勝します」と自信を口にした。

2人は埼玉県のNO・1進学校、県立浦和高校の同級生。とも慶大に進んだエリートだ。慶大お笑いサークル「O-keis」で2012年(平24)にストレッチーズを結成して、同年の学生漫才日本一決定戦「大学生M-1グランプリ」で優勝。卒業と同時に、14年にプロになった。

福島は「今まで両親からは、いつ(漫才を)やめるんだと言われてきた。大学を卒業する時に『芸人になる』って言った時は、絶対にやめてくれといわれたけど、今日は喜んでくれているでしょう」。

高木は「今は母も応援してくれています。大学を卒業する時は反対されて、8回家族会議を開かれて、8回泣かれました。あきらめたのか、売れる方にベットした(賭けた)のか、今は応援してくれている」と話した。

賞金100万円の使い道について、福島は「医学専門学校で週に2回バイトをしているんですが、辞めようかなと思います。お笑いに専念します」。

高木は「僕も同じ。工事現場の警備員をやっています。もし、余ればカッコイイ自転車がほしい。移動に便利なんですけど、乗っているママチャリが壊れちゃって」と笑った。

この優勝で、ブレークへの1歩を大きく踏み出した。竜兵さんも2人の活躍を見守っているはずだ。

決勝には3組の他にキュウ、サスペンダーズ、さんだる、10億円、ゼンモンキー、竹内ズ、TCクラクション、ハナイチゴ、パンプキンポテトフライ、ママタルト、森本サイダー、わらふぢなるおの計15組が出場した。

◆ストレッチーズ 漫才コンビ。ボケの福島敏貴が奇抜なキャラクターを演じて、それにツッコミの高木貫太がツッコムうちに生まれる不思議なすれ違いのワールドで笑いを生むしゃべくり漫才。慶大お笑いサークル「O-keis」在籍中の12年に結成して、同年の大学生漫才日本一決定戦「大学生M-1グランプリ」で優勝。14年卒業と同時にプロになる。M-1グランプリは15年が3回戦進出、16年が2回戦進出、17年から21年までは準々決勝進出。K-PROアワード2021 MVP。

福島敏貴(ふくしま・としき)92年3月19日、さいたま市生まれ。埼玉県立浦和高校から慶大総合政策学部卒。180センチ、73キロ。血液型O。

高木貫太(たかぎ・かんた)91年7月24日、埼玉県所沢市生まれ。埼玉県立浦和高校から慶大理工学部卒。174センチ、60キロ。血液型O。