10億アクセスに迫るとも言われる巨大海賊版サイト「漫画BANK」の運営者とされる人物が中国で摘発された事件について、NHKは報道番組「クローズアップ現代」(月~水曜午後7時30分)の19日放送で、半年前からその舞台裏に密着した特集を放送することを14日、発表した。

「『違法漫画サイト』を摘発せよ!密着“デジタルGメン”」と題された特集。漫画海賊版サイトでは、有名作品が次々と掲載され、タダ読みされた被害額は昨年1年で少なくとも1兆円との試算もある。その代表格「漫画BANK」運営者が中国で摘発されたことを受けての放送。番組は「半年前から、著作権団体を中心に弁護士など海賊版対策のスペシャリストによって結成されたデジタルGメンの調査に密着」したという。さらに「摘発に至るまでの一部始終をカメラが捉えた」として、すさまじい速度で乱立・巧妙化していく実態や、億単位にものぼる広告収入の構造に迫る。

さらに取材班は、サイトの発信元である中国の農村

を独自取材。「なぜ中国で?」「どんな人物が運営していたのか?」など運営者の闇を初めて明らかにする。

調査の最前線には、ひきこもりだった人たちなどをホワイトハッカーとして養成し、海賊版サイトを追い詰めているIT企業の存在もあるといい、漫画・アニメ産業を揺るがす危機の実態と、解決への道筋を探る。

桑子真帆アナウンサーが進行する同番組の今回のスタジオゲストは、中島博之弁護士。大手出版社4社顧問弁護団の1人であり、デジタルGメンのメンバー。自身も漫画原作者で、海賊版サイト、ファスト映画の問題を早期から調査し、警察の捜査にも協力をしている。

取材班の社会部・田畑佑典記者は「『運営者を突き止めることができそうです』。“デジタルGメン”の1人から届いた連絡をきっかけに、半年間の密着取材を始めました。「若い漫画家の可能性の芽がつぶされている」-取材した関係者は口々にそう語りました。海賊版は心血を注ぐ作者から利益をかすめ取ることで日本の誇る漫画文化の土台を揺るがしています。『無料でコンテンツを楽しみたい』という気軽な気持ちが悪質なビッグビジネスにつながっている。番組を通じてその事実に目を向けてもらえたらと思います」とコメントしている。