NHK林理恵メディア総局長が21日、東京・渋谷の同局で定例会見を行い、昨年12月に放送されたBS1スペシャルのドキュメンタリー「河瀬直美が見つめた東京五輪」が、今月9日に放送倫理・番組向上機構(BPO)から「重大な放送倫理違反があった」と判断されたことを受け、謝罪した。

林メディア総局長は「番組にご強力いただいた監督の河瀬直美さんをはじめ、公式記録映画の関係者の皆さま、インタビューに答えていただいた男性など取材にご協力いただいた方々、さらに五輪反対デモに参加したり主催されたりした方々、そして視聴者の皆さまに重ねておわび申し上げます」と謝罪。また「真実を正しく把握し、正確に放送するというNHK放送ガイドラインの原点を改めて確認するとともに、再発防止を着実に実行し徹底していくことで、視聴者の皆さまに信頼される番組作りに努めていきたいと考えています」と述べた。

字幕についてBPO側は捏造(ねつぞう)と認定しておらず「今回起きたことは真摯(しんし)に受け止めたいが、いわゆる捏造(ねつぞう)といった事実はないと思っている。だからよかったということでなく、BPOのご指摘は真摯(しんし)にかつ誠実に受け止めて、これからの再発防止に取り組みたい」とした。

NHKは昨年12月放送の同番組において、ある男性が五輪反対デモに金をもらい動員されたと裏付けのないまま字幕を付けて放送。その後、男性への聞き取りではデモに参加した事実確認がとれず、字幕を「不確かな内容」としてきたが、2月の会見で「字幕の内容は誤りだったと判断した」と調査結果を報告していた。