東宝は27日、東京・千代田区の帝国劇場を2025年に一時休館すると発表した。

「帝劇ビル」の閉館と建て替えによるもの。竣工から約56年が経過し、共同所有する出光美術館、隣接する「国際ビル」を所有する三菱地所と共同で再開発する。「再開発事業を通じて、有楽町エリアの魅力ある街づくりにも貢献してまいります」としている。

帝国劇場は1911年(明44)、日本初の本格的な西洋式大劇場、近代日本の文化芸術のフラッグシップとして現在と同じ皇居前に誕生。40年(昭15)から東宝直営劇場となった。

55年(昭30)に日本初のシネラマ上映館に転換し、64年(昭39)に映画「アラビアのロレンス」の上映をもってその幕を一時閉じたが、66年(昭41)に2代目となる現帝国劇場が開場。東宝専務だった劇作家、菊田一夫が「風と共に去りぬ」の世界初の舞台化を想定して建設の陣頭指揮に立ったことで知られ、「屋根の上のヴァイオリン弾き」「王様と私」「ラ・マンチャの男」「マイ・フェア・レディ」など幅広いジャンルの演劇興行を行ってきた。

「レ・ミゼラブル」(87年初演)、「ミス・サイゴン」(92年初演)、「エリザベート」(00年初演)、「MILLENNIUM SHOCK」(現「Endless SHOCK」、00年初演)など、現在も再演を続けている大作ミュージカルも多い。今年は「千と千尋の神隠し」の舞台化が大きな話題を呼び、来年には人気コミック「キングダム」「SPY×FAMILY」の上演も控えている。

同社では「“大衆性と芸術性の融合”のモットーのもと、110年を超える帝劇の灯を絶やさず、輝ける未来に向かって進化する新帝劇をお客様にお届けすることが、私たちの大きな使命となります。現帝国劇場の2025年大千秋楽まで、どうぞ変わらぬご支援を賜り、新劇場の誕生をご期待くださいますよう心よりお願い申し上げます」としている。