シンガー・ソングライター小田和正(75)が9日、神奈川・横浜アリーナで、3年ぶりの全国アリーナツアー「こんど、君と」の公演を行った。

振り替えとなった東京、沖縄公演を残しつつも地元横浜で、国内アーティスト史上最年長となる75歳2カ月でのアリーナツアーの“フィナーレ”を迎えた。

6月3日の初日公演で「この楽しさを最終日までどんどん膨らませていって大きく駆け抜ける…。それがテーマです!」と宣言し、始まったツアー。新型コロナウイルス感染などで延期を余儀なくされながらも15カ所29公演を完走。約30万人を動員した。振り替え公演を意識して「セミファイナルみたいな感じで」と冗談めかしながら「どうもありがとうー!」と元気に呼びかけると、故郷に集まった1万3000人から惜しみない拍手が送られた。

159日前の初日公演では、ステージ上で目頭を押さえ感極まる場面もあったが、この日は終始笑顔。「思いっきり楽しくやらせていただきました」と振り返った。

代表曲「ラブ・ストーリーは突然に」など、全25曲で衰え知らずの美しい声を響かせ、ファンを魅了した。

ツアー中の9月に75歳を迎えた。この日のライブ前も、狭い楽屋を走ってウオーミングアップをしたり、声出しをしたりと努力を欠かさない。ストイックな姿勢がハイパフォーマンスを支える。ライブでも全長180メートルの花道を走ったり、練り歩いたりなど、体力面での不安は全く感じさせなかった。

この日、延期分の振替公演とは別に、追加公演として来年5月から8カ所16公演を回ることも発表された。ツアーの総動員数は約50万人になる予定だ。今年は、恒例だったステージ上の客席(オンステージシート)は設置できず。客席を練り歩き、観客にマイクを向けて一緒に歌うこともできなかった。「もしかしたら一緒に歌えるようになっていることを願って、みなさん健康に注意してちょっとだけ付き合ってください」と呼びかけた。来年には、皆がマスクを外し、「普段通り」のライブになると信じて、小田は走り続ける。【佐藤成】