岸井ゆきの(31)が「ケイコ 目を澄ませて」(三宅唱監督)で、最優秀主演女優賞を受賞した。

第43回で「愛がなんだ」で正賞外の新人俳優賞を受賞したが、最優秀主演女優賞は初受賞。岸井は受賞の瞬間、口を手で押さえて涙すると「ありがとうございます。ええっ…身に余る賞を、ありがとうございます」と、声を絞り出した。

岸井は劇中で、生まれつき聴覚障がいながら、プロボクサーとしてリングに立ち続けるケイコを演じた。「三宅組でなかったら誰ひとり欠けてもここに立てなかった。原案となった小笠原さんに感謝します」と三宅監督とスタッフ、ケイコのモデルとなった小笠原恵子さんに感謝した。

映画を愛することで知られる岸井は「私は映画が大好きなんです。映画を見ることが大好きで、映画を見ている時は、何語でもしゃべれるし、どこでも行けるし、何者でもないから好き」と映画の魅力を語った。そして「演じること、常に役、他者を演じることで、自分を見ることが出来る。現場でワーッとやって、家に帰って自分は何者でもないと思えるのが安心で。そういうので自分を見ている感じがして」と、演じることで自分自身を見詰めていると語った。

さらに「30、40年前の映画を初めて見た時、これを見るために映画を見てきたんだというのがあって。映画は、ずっと見つけてくれることを待っていて…まだ出会う前の誰かのために生きることができるのかなと思ったりして。この作品には、見たことがない景色を見せてもらいました」と作品に感謝。「まだ劇場でやってるんです。上映中なんで、見に行って欲しいんです。それだけが、私の望みなんです」と「ケイコ 目を澄ませて」を映画館で見て欲しいと訴えた。

優秀主演女優賞は岸井のほか、のん(29=「さかなのこ」)倍賞千恵子(81=「PLAN 75」)広瀬すず(24=「流浪の月」)吉岡里帆(30=「ハケンアニメ!」)が受賞した。

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