フランスで開催中のカンヌ映画祭で、最高賞パルムドールを争うコンペティション部門に出品された、是枝裕和監督(60)の映画「怪物」(6月2日公開)の公式会見が17日、開かれた。

劇中で教師の保利道敏を演じた永山瑛太(40)は、役作りについて聞かれ、父親としての家庭内での自らの在り方と近い感覚を、演じた役どころに重ねたと明かした。

永山は会見で「自分も子どもがいまして」と切り出した。10年に歌手木村カエラ(38)と結婚し、同年に長男、13年には長女が生まれているが「一緒に生活していても、毎日子どもたちは成長して、違った言葉や動きをしていて、それを、僕は父親として受け止めていきたいという気持ちで家庭の中にいるのですが」と語った。

保利は、黒川想矢(13)が演じた麦野湊、柊木陽太(11)が演じた湊の友人・星川依里の担任という役どころだ。永山は「それ(自らの家庭内での在り方)と同じ感覚で、今回は教師役ということで、特に想矢くん、陽太くんを受け入れる時に、僕としては突き放すという意味ではなく、放っておくというか、放任すると言いますか…。それでも、やっぱり全ての生徒に対して意識を持って、全員に同じ愛情を注ぐことはできないなと今回、改めて感じたんですけど、それでもやっぱり、みんなのことは毎日撮影中に気になりました」と撮影を振り返った。

作品のタイトルについての思いも語った。

「今から映画を見てくださる方も、このタイトルの『怪物』、そして日本でも『怪物、だーれだ?』という予告が流れていて、周りの人からもどんな映画なの? と聞かれるのですが、僕の中でもいまだに分からない。現場中も結局、誰が怪物だったのか、それは自分の内側に潜んでいるものなのか、外側にあるものなのか」

永山は「1人1人、見てていただく方の正解があると思いますし、僕はいろんな見た方の意見を聞いて、とても、そういった意味で捉え方の余白というか、自由な捉え方をしていい、素晴らしい映画なんだなというのを改めて感じています」と、観客に考え、受け止める余地を多く与える、豊かな映画であると強調した。