5人組お笑いグループの超新塾は、先月20日に行われた結成16年目以上が対象のフジテレビ系「THE SECOND~漫才トーナメント~」グランプリファイナルに出場。準々決勝で囲碁将棋に敗れるも、大会アンバサダーを務めた松本人志(59)から「笑いの量的には点数ほどの差はなかった。超新塾はこれから仕事、結構増えるんじゃないですか」とコメントされた。その後、実際に仕事が急増している。前編は結成21年を迎えた超新塾が激闘を振り返った。【取材・構成=高橋洋平】

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5人の体の中には今も、グランプリファイナル出場の興奮が残っていた。

タイガー福田(47) とにかく松本さんに「仕事増えるぞ」って言われたので、それはもう1年間ずっと言い続けていこうかなっていう。もうほんま、Tシャツにでもプリントにしようかなっていう感じですね。「THE SECONDファイナリスト 松本さんに仕事増えるぞって言われた」みたいな。1年間怒られても言い続けようかな。だから裏返しに言うと、僕らが優勝みたいなもんやってことを言ってたんかもな。

イーグル溝神(47、以降イーグル) 言ってないよ(笑い)。

結果的には松本の発言は、予言となった。大会出演後はライブや営業と仕事のオファーが相次いでいる。

イーグル 松本さんの言う通り、仕事が増えてきている。結果的には(漫才の)点数(255点)が低かったりしたんですけど、それもオイシイ方に持っていって、それを1個1個仕事につなげていかないといけないなっていうのが、僕らに課せられている仕事。結果、グランプリファイナルに出たっていうことで、次の大会、来年の「THE SECOND」があるか、ないかも分からない状況じゃないですか。僕らが活躍しないと、次もなくなるわけですから。1個1個の仕事を大切に。来年になった時には、僕らの状況が変わっているような形にしないと。「THE SECOND」の夢も他の後輩たちに託すこともできないし、今回、グランプリファイナルに行けなかった人たちも、夢がなくなる可能性があるじゃないですか。そういうところで結構課せられた仕事ではあるのかな、という考えになってきています。

メンバー唯一の米国出身のアイクぬわら(36)は「アメリカンドリーム」ならぬ「ジャパニーズドリーム」をつかんだ。

アイクぬわら ニューヨーク生まれ、シアトル育ちの僕が、そもそもアメリカで「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(日本テレビ系)の高田純次さんのバズーカを見て、それがきっかけで日本のお笑い芸人になりたくて日本に来たんですけど。高田純次さんが日本の入り口というか、それで日本のいろんなお笑いを見ていて、特に「ダウンタウンのごっつええ感じ」(フジテレビ系)も見ていたんですよ。日本語もしゃべられなかったし、何言っているか分からなかったんですけど。超新塾でグランプリファイナルまで行けて、まさか松本さんから「これから仕事増える」って言われて。僕からすると、アメリカにいた時に見ていた人から直接言われるというのは、めちゃくちゃ面白いというか、うれしい気持ちですよね。

サンキュー安富(48)はテレビの影響力の大きさに驚いていた。

サンキュー安富 (テレビ出演の)次の日に僕は下北沢を歩いていたんですよ。小学生くらいの男の子に呼び止められて「すみません、超新塾さんですか?」って言われたんで「そうです」と言ったら、「昨日見てファンになりました」って言われて。今まで街中でたまーに声をかけられることがあったんですよ。大学生とか中年男性とかには。初めて子供に声をかけられました。あと、昔の恋人からLINEが来ました。10年以上前の恋人から。「THE SECOND」すげえなと思いました。

ブー藤原(47)は5人の結束力を体感していた。

ブー藤原 「THE SECOND」大会前に調整じゃないですけど、ネタを5人で集まってやる空間なんてほぼなかったんで。楽しい時間というか。グランプリファイナルが決まってから、ワクワクしたかな。

大会でインパクトを残す必要があった。「THE SECOND」に出場前まではコアラ小嵐(37)を加えた6人で活動していた。大会出場にあたり、スケジュールの都合でコアラが2月に円満脱退。大会初戦がいきなりの初5人漫才だった。グランプリファイナルの組み合わせ抽選会でもイーグルは「結果を残さないと、辞めた人間が報われない」と熱く語っていた。

イーグル 「THE SECOND」に出るためにグループ会議をしたんですけど、その時に小嵐が「それはちょっと過酷かもしれないです」と。じゃあ別々でやろうかという風な感じですかね。「THE SECOND」に出るために1人辞めたみたいな感覚でもあるんですけど、彼は彼で前向きで。筋肉系YouTuberやってるんでそこに集中したいってことで。

大会出演を終え、楽屋でメンバー全員が最初に電話したのがコアラだった。超新塾のYouTubeチャンネル「超新塾ちゃんねる」で、そのシーンを公開している。

イーグル 僕の立ち位置の隣に小嵐、タイガーさん、サンキューさん、ブーさん、アイクっていう並びだったんですけど、テレビを見た時に僕とタイガーさんとの間がちょっと広いんで詰めてくださいって、コアラが言ってましたね。

コアラは動画内で「うれしさも感じつつ、寂しさも感じつつ」と本音を吐露していた。

イーグル 「僕こんなところにいたんだ」とか言って、複雑な雰囲気がありましたね。その後はお互いエールを交換して。彼もYouTuberやってるんで、コラボとかもできる。「元超新塾」っていうだけでも、僕らが活躍すればするほど、彼の得になるから。「元超新塾」って名乗ってもらって全然いいと思う。(つづく。次回は2日午前7時配信予定)

 

◆今後の出演予定

▼6月2日 「東京センターマイク」(東京・西新宿ナルゲキ)

▼6月2日 フジテレビ系「ネタパレ」(金曜午後11時40分)

▼6月10日 「K-PRO大旋風」(東京・西新宿ナルゲキ)

▼6月中公開 YouTube「しくじり学園放送室」(23分1発撮りノーカット)

 

◆超新塾(ワタナベエンターテインメント所属)01年10月に結成。

▼イーグル溝神(本名、溝上洋次=みぞかみ・ようじ)。1975年(昭50)10月4日生まれ、兵庫・神戸市出身。

▼タイガー福田(本名、福田善計=ふくだ・よしかず)1975年(昭50)10月2日生まれ、岡山・津山市出身。

▼サンキュー安富(本名、安富郁矢=やすとみ・いくや)1975年(昭50)5月6日生まれ、広島市出身。

▼ブー藤原(本名、藤原直樹=ふじわら・なおき)1975年(昭50)11月3日生まれ、大阪・堺市出身。

▼アイクぬわら(本名、アイク・ヌワラ)1986年(昭61)6月5日、米国ニューヨーク生まれのシアトル育ち。11年にオーディションで選ばれ加入。