脚本家の倉本聰氏(88)が、88年の「海へ~See you~」以来35年ぶりに映画の脚本を手がけた「海の沈黙」(若松節朗監督、来年公開)の製作報告会見が16日、撮影が行われている北海道小樽市で行われた。主演の本木雅弘(57)とヒロインの小泉今日子(57)は、82年にデビューした“花の82年組”の同期で、15歳で出会い、公私ともに親交を深めてきた。俳優としての共演は、92年1月期のフジテレビ系月9ドラマ「あなただけ見えない」以来31年ぶり。

本木は、画壇から追放され世界的な贋作(がんさく)事件の犯人と疑われる天才画家・津山竜次を、竜次を追い北海道を訪れる、かつての恋人でローソク作家の田村杏奈を小泉が演じる。本木は「芸能活動においても、私生活においても、小泉さんはいつも、私にとっては一歩先を行く人という感じでした。今回はラブストーリーめいたものはあるんですけども、恋愛経験も私より非常に豊富で、奔放で、大胆なところがありますので、その辺については、ちょっと裏で事情を伺いながらいこうかな、というふうに思います」と言い、取材陣、そして小泉まで笑わせた。

倉本氏とは今回が初対面だが、電話では何度も、それも1回に1時間半以上も語り合い、同氏が自身を当て書きしたという脚本への理解を深めてきた。本木は「今回、倉本先生が書かれたのは、いわゆる恋愛がイメージする、ぶつかり合ったり、重なり合ったりするという形の恋愛ではなく、まさに慕情に近いフィーリングに近い。時を経たり、ある距離があっても男と女には計り知れない何かが存在する。私も少ない経験値の菜から、その糸口を見つけながら…」と評した。そして「私と小泉さんは、もうすぐ還暦を迎える手前で、どういう仕事が出来るかな?という意味合いにおいては感慨深い仕事」と小泉を評した。

小泉も「本木さんと私は、出会った時は15歳くらいですよね。本当に同期で、歌手として活動をし始めた時から知っているので」と同期であることを強調。「いつも私が歩いている横の方を見ると、必ず本木さんが、いつもいるという感じで。時々、横を見ては、あっ、私も大丈夫、本木さんがそこにいる、と思えるような感じで40年間、私の中にあります。お芝居を一緒にやるのは20代の時だったから…30年以上、たっているのかな? 」と、同期であり戦友であることを強調した。そして「お互い、歌手でしたけど…今、こうして俳優として、また同じ作品で力を合わせることが出来るのは、とてもうれしいこと」と感慨深げに語った。

会見と撮影には中井貴一(61)と菅野恵(28)も参加した。【村上幸将】