帝国劇場で上演中の「ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル」で日本語訳詞を手がけたシンガー・ソングライター松任谷由実(69)と、原作映画「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマン監督の初対談がこのほど実現し、互いへのリスペクトを語った。

来日し、開幕を見届けたラーマン監督は、「まるでユーミンのライブのような盛り上がり方! 観客が参加している。演劇というより、ユーミンのライブに近いかな」と感激。世界7都市で開催されてきた舞台だが、ラストで描かれる「悲劇の愛」が、日本版はとりわけ切なく、ドラマチックであることに「感動した」という。

劇中歌のうち、エルトン・ジョンの「Your Song」を訳詞したユーミンは、「私、燃えたんです。14、15歳のころに衝撃を受けた歌だったので。心情を日本語にしたいと強く思いました」。限られた音節で訳詞する難しさを語りながらも「受け取り手は、ひとつの言葉ですごくたくさんの情報を得る感性を持っているので伝わると思いました」と話した。

監督によると、21年前の映画製作時、多くのアーティストの曲を使用できた背景には、エルトン・ジョンの働きかけがあったという。本作でも、宮本亞門氏、松尾潔氏、KREVA、ヒャダインら17人の顔ぶれが訳詞に参加している。ユーミンは「私も影響力がそこそこあるので、今回私が参加したことで多くのアーティストが熱意をもって参加してくれたかと思います」と語った。

ユーミンは「近い未来、世界は確実に私を見つけると思います。私を見つけてほしいです」と語り「すごいアンビジョン(野望)だけど、スコセッシがローリング・ストーンズの映画を撮ったように、バズに私の映画を作ってほしい」。監督も「あなたを見つけにいきますよ」と応じ、「今は配信やストリーミングがありますし、みんなユーミンのことを知りたい、つながりたいという欲望があると思います」と話した。