映画「ほんとにあった怖い話」シリーズで知られる鶴田法男監督(62)が6日、自身の公式サイトを更新し「自分もある意味、今回のジャニーズ問題の被害者でもあり加害者でもあるので、どうも様々な記事に目が行ってしまいます」と題する文章を発表した。その中で、テレビ局プロデューサーからジャニーズ事務所所属タレントを起用するために脚本を改変するよう依頼があったと明かした一方で「ジャニーズ事務所に限らず大手芸能事務所に合わせて脚本やプロット改訂の変更を強要されたのは1回だけでなく常態化」と、テレビ局が大手芸能事務所に対し、一定の配慮や忖度(そんたく)をすることが常態化していると指摘した。

鶴田監督は「ほんとにあった怖い話」がフジテレビ系でドラマ化&シリーズ化された際もメイン監督を務めるなど、映画とドラマを手がけている。同監督は「某テレビ局プロデューサーから『ジャニーズを主演にしたいから、主人公の女子高生を男子に書き直して』と依頼されて、数ヶ月掛けて書き上げた脚本を仕方なく書き直した経験があると以前記しました。つまり、自分もある意味、今回の大問題の被害者でもあり加害者でもあるので、どうも様々な記事に目が行ってしまいます」と、テレビ局においてジャニーズ事務所のタレントを起用するために、脚本の改変を制作者に強要するなどの行為がなされていたとした。

一方で「なお、お断りしておきますが、そのようなプロデューサーの強要でジャニーズのタレントさんや、元所属されていた方と仕事をした場合でも、その個人は皆さん、本当に優秀な方ばかりでした。ですから、タレントさん個人には感謝するばかりです」と、ジャニーズ事務所所属タレント個人は、非常に優秀だとたたえた。

その上で、鶴田監督は「ちなみに、もう終わった事だけど、冒頭に記したテレビ局プロデューサーからはジャニーズ事務所に限らず大手芸能事務所に合わせて脚本やプロット改訂の変更を強要されたのは1回だけでなく常態化してました」と、テレビ局側の忖度(そんたく)はジャニーズ事務所に限らず大手芸能事務所案件においては、一貫してはびこっていると指摘。「しかも人気の役者をキャスティングできないと脚本料やプロット料を支払ってもらえないという事も頻繁に起きていました。自分にとっては大事な企画だったので本当に複雑な思いと辛い決断でしたが、その仕事から手を引く事にした次第です。ただし、その後、何年か掛けて支払ってはもらいましたが……」と、脚本を書いても人気タレントをキャスティングできなかった場合、脚本料を支払われないような自体も頻繁にあったと“暴露”した。

そして「大きな力を持った側が理不尽な事を『個人』や『弱者』に強要してくるのは世の常でしょう。しかし、今回のジャニーズ事務所とそれを取り巻いた大手企業の姿勢が引き起こした問題は、性加害というだけでなく日本のメディアやエンタメ産業全体にはびこっている様々なハラスメントを露呈させたことになると思うので、今後それらが改善されることを願うばかりです」と、ジャニーズ事務所の性加害問題は、日本のメディア、企業の姿勢を見直す、良い機会だと指摘した。

また、2日にジャニーズ事務所が開いた会見で、質疑応答で指名する記者のNGリストがあったとNHKが報じてから一夜明けた5日、会見の運営を委託されたコンサルタント会社「FTIコンサルティング」がリストを作成したことを認めた件についても言及。「さて、色々な報道を見るとジャニーズ事務所とPR会社の事前打ち合わせで『ガス抜きが必要』とか、『ビジネスの話を先にする』とかやり取りをしていたそうですが、東山社長、井ノ原副社長を含めたジャニーズ事務所関係者は、2日の会見を『新会社設立発表の場』をメインに捉えていて、『9月7日の会見では具体性の無かった前任者の犯罪行為へのあらためての謝罪や、被害者への補償や救済、それに企業としてのガバナンスの方針発表』などは軽く考えていたとしか思えません」と、会見が新会社設立発表が主目的だったのではないかと指摘。「あの会見を見ていて、『新会社設立の話題』になったらお二人とも妙に弾んだ声になっていました。もちろん、東山社長も井ノ原副社長も被害者である可能性もあるし、前任者の不祥事ではあります。しかし、不祥事が発覚した企業の責任者になった以上は、マスコミからどんな質問を受けても真摯に答えて、ひたすら謝罪をして、『このような事が二度と起きない具体的な方策として新会社設立』を語るべき会見だったはずです」と持論を展開した。