テレビ朝日は12日、特別番組「旧ジャニーズ問題検証」(午前10時)を放送した。

旧ジャニーズ事務所の創業者ジャニー喜多川氏(19年死去)の性加害問題を受けた検証番組で、進行は同局大下容子、小木逸平両アナウンサーが務めた。番組冒頭では制作にあたり、103人の同局OB、局員にヒアリングを行い、実態を調査したことを報告した。

04年2月、ジャニー氏の性加害を認める最高裁判決が確定したが、一連の裁判を報じなかったことについて、内藤正彦報道局長が説明。裁判が行われていた02~04年当時の社会部記者、ニュースデスク、ワイドショープロデューサーらに行ったヒアリング結果を紹介した。

「判決期日の予定があるのを知らないので、文春の裁判を取材予定としてあげたことはない」(元社会部司法担当記者)「この高裁判決があるという取材予定をあげた記憶はない。この日付に高裁判決があるという情報があれば、社会部デスクにあげていた」(元社会部司法担当記者)「文春の連載もちゃんと見ていなかったというのもあるし、喜多川氏による重大な人権侵害の行為であるという認識がなかったと思う」(元ニュース番組デスク)「バリューがあるネタだとは感じなかった。『週刊誌』対『タレント』というのは結構ありがちで、それはあまり普通ニュースにしていない」(元ニュース番組デスク)などとコメントを紹介。

裁判担当記者ですら日程を把握していなかったとし、内藤報道局長は「報道局内でもあくまで週刊誌による芸能ゴシップネタであり、被害の実態への関心も持たず、自分たちがニュースとして扱うものではないという決めつけ、偏見があった」。また「考えの根っこには男性の性加害、性被害に関する無知、無関心、そして人権意識の低さがあったことは否定できません」と述べた。

一方で、当時ジャニー氏の性加害を報じた週刊文春の記事を読んでいた記者がいたことも報告。後追い取材に至らなかった経緯についても「時期を読んだ記憶はあるが、事実上あの時の体制、人数では(後追い取材は)ニュース番組でも社会部でもできない」(元社会部デスク)「ワイドショーが扱うネタだと思っていた。報道局が扱うネタではないと思っているので、後追いする議論もしていない」(元社会部デスク)「週刊誌は相当いろいろ取材しているが、(後追い取材を)やるとしたら未成年者も絡んでくるので独自に取材し事実関係を含めてきちっと押さえないと、もし間違っていたら本当に名誉毀損(きそん)になってしまう」(元ワイドショープロデューサー)などのコメントを伝えた。