日本民間放送連盟の遠藤龍之介会長(67)は22日、都内の定例会見で、旧ジャニーズ事務所の性加害問題で、民放各局が放送した検証番組について「本来、民放連が個別の番組についてコメントすることは適当じゃない」と断りながらも、「評価する声や、物足りないという声があった」と話した。

そして「私としてはあの短い時間で、各社とも現時点でできる限りの調査をしている。そして、その結果を真摯(しんし)に伝えていると思う」と一定の評価を与えた。

そして「旧ジャニーズの数々の性加害が、重大な人権侵害の事実であることを各社とも検証番組で表明している。それだけでなく、いわゆる忖度(そんたく)がいけないのは当然のこと。報道に関しては(旧ジャニーズの)所属タレントの不祥事の際に必要以上に慎重になって、報道が遅れて事もあった。今後については、しっかり考えてもらったかと思います」。

さらに「この問題の長さは50年から60年に及ぶ。旧ジャニーズと民放各局の付き合いは、それくらいになる。性加害以外にも、いろいろなシーンがあった。編成は忖度(そんたく)があったし、報道は(性加害に対して)ニュースとしての認識がなかった。放送人が学んだことを未来に生かしていくと思う」と話した。

民放連としては「各社の指針となるようなものを、人権に関する基本的姿勢について方針を取りまとめます。私が委員長を務める緊急対策委員会でまとめて、年内に発表します。性加害だけでなく、メディア業界におけるハラスメント、残業の問題なども含める」と明らかにした。

また、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」に所属していた40代の男性が、ネット上の誹謗(ひぼう)中傷を苦に自殺したと報じられたことについては「今回、被害者の方が亡くなったのは、大変痛ましいこと。誹謗(ひぼう)中傷が原因とすれば、伝える形を考えていかなくてはならない」と話した。