5年ぶりの主演映画「ほかげ」(塚本晋也監督)で主演女優賞を初受賞した趣里(33)が、体調不良で欠席した。18回目の司会となったフリーアナウンサー笠井信輔(60)が「体調不良のため急きょ、出席できなくなりました」と説明した。

趣里に代わって、塚本晋也監督(64)が登壇し、トロフィーを受け取った。同監督はトロフィーを手に「今、皆さんが思っていることと、僕が思っていることは全く一緒で…本当に、この場に趣里さんが、これを持って立っているところを非常に見たかった。僕で、すみません」と受賞スピーチながら謝罪。その上で「体調が悪いということで、早い回復を願っています」と趣里にメッセージを送った。そして「趣里さんは、体全体が非常に鋭敏なアンテナでできているような方で。その場の空気とかいろいろなものを鋭敏に感じ撮って、ご自分で出し、相手の俳優に働きかけて、引き出すという、非常にすばらしい力を持っている俳優。本物の俳優と、お仕事できて光栄でした」と俳優・趣里を評した。

「ほかげ」は、塚本監督が自ら脚本も手がけたオリジナル作品。趣里は劇中で、戦争で家族をなくし、焼け残った居酒屋で体を売って生きている女を演じた。喪失感にさいなまれながらも、その日その日を暮らしている中で、期せずして出会った戦争孤児との関係にほのかな光を見いだしていく役どころだ。1日に受賞が発表された際には「歴史ある賞をいただき、とても光栄です。自分の中では何一つ変わらないのですが、おかげさまで、自分にできることをやって皆さんに『よかった』と言っていただければそれでいい、と思える一年となりました」とコメントしていた。

「ほかげ」は、8歳の塚尾桜雅が史上最年少で新人男優賞を受賞し、2冠を獲得した。