看護師でもある歌手入山アキ子(54)が3月末に、東京湾で4年ぶりとなるクルーズイベントを開催した。全国から参加した約40人を前に、恒例のだるまの開眼式を行った。15周年記念曲「一泊二日」のヒットを祈願しただるまに、祈願成就の目入れを行った。

22年10月発売の「一泊二日」は、道ならぬ恋の2人が初めて1泊2日の逢瀬(おうせ)を経験する心情を歌う。作詞は久仁京介氏、作曲は四方章人氏。入山にとって初挑戦の内容だったが、多くの演歌ファンから支持を得てヒットした。

目入れを行っただるまは後日、茨城県下妻の大宝神社に奉納した。入山は「ファンのみなさんのおかげです」と感謝した。

昨年9月に発表したアルバム「昭和歌謡オトコウタ」も好評だ。「北の旅人」(石原裕次郎)「恋」(松山千春)「旅の宿」(吉田拓郎)「古城」(三橋美智也)など、昭和の幅広い男唄をニューアレンジで12曲収録。ボーナストラックには、ギターバーションの「一泊二日」が収録されている。だるまへのヒット祈願は、アルバムにも波及効果があったようだ。

かつて多くの演歌系歌手が、だるまにヒット祈願を行った。何度も歌手自身による目入れを取材したが、最近はあまり見られなくなった。ヒットの形がレコードやCDなどのパッケージの売り上げより、配信に比重が移ったことも影響しているのかもしれない。

ちなみに、だるまは禅宗の始祖である達磨大師が座禅を組んだ姿をモチーフに作られたと言われている。何年も座禅を続け、手足を失ったという伝説がある。その不屈の精神を持つ達磨大師のだるまが、いつしか願い事をかなえてくれる縁起物となり、商売繁盛や必勝祈願などに用いられるようになった。

だるまが赤い色をしているのは、達磨大師が赤い着物を着ていたことに由来すると言われている。さらに赤は古来より厄よけ、魔よけの色とされていた。現在はさまざまな色のだるまがあり、恋愛成就、結婚祈願は桃色という。

だるまの目入れは、最初に左目(向かって右側)に入れ、祈願が成就した際に、右目を入れるのが一般的。ただ地域や祈願の内容によっては、逆の場合もあるという。役目を終えただるまは、神社などに奉納し、お焚き上げで供養するのが原則という。

入山のように、だるまを大切にしていれば、願いがかなう、かもしれない。【笹森文彦】