世界3大映画祭の1つ、第77回カンヌ映画祭(フランス)ラインアップ発表会見が11日、フランスで開かれ、ある視点部門に池松壮亮(33)が出演、EBiDANの研究生「EBiDAN NEXT」越山敬達(14)の主演映画「ぼくのお日さま」(9月公開)の出品が決まった。奥山大史監督は2月に28歳になったばかりで、日本人監督の同部門には最年少での出品となった。

ある視点部門は、革新的で独自な視点の作品を集めた部門で、1978年からスタート。黒沢清監督(68)が、08年に「トウキョウソナタ」で審査員賞、15年「岸辺の旅」で日本人で初の監督賞を受賞。近年では、新しい映画監督を国際的な舞台へと輩出する部門として注目され、今年は、2000本以上の作品の中から選ばれた。

「ぼくのお日さま」は、雪の降る街を舞台に、吃音(きつおん)をもつホッケー少年のタクヤと、フュギュアスケートを学ぶ少女さくら、そして元フィギュアスケート選手でさくらのコーチ荒川の3人の視点で描かれる。雪が降りはじめてから雪がとけるまでの、淡くて切ない小さな恋の物語を描き、奥山監督が撮影、脚本、編集も手がけた。タクヤを越山、さくらを中西希亜良(12)が演じる。池松は元フィギュアスケート選手のコーチ・荒川を、荒川の恋人・五十嵐を若葉竜也(34)が演じる。

カンヌ映画祭のティエリー・フレモー総代表は、18年に「万引き家族」で最高賞パルムドールを受賞した、是枝裕和監督(61)を引き合いに「コレエダの再来だ。10分も見れば、これがまさに映画であることが分かる。ぜひとも大きなスクリーンで見てほしい。」と、奥山監督を絶賛しつつ、選出理由を明かした。

池松、主題歌を担当した男女デュオ「ハンバートハンバート」と奥山監督がコメントを発表した。

▽池松壮亮 映画そのものを祝福してくれるような世界最高峰の地で、自分にとって本当に大切な作品を、さまざまな国の映画人、映画ファンにみていただけること、大変光栄に思っています。奥山さんをはじめ、主演の敬達、希亜良、キャストスタッフ、この映画に関わった全ての方々と、この喜びを分かち合いたいです。

▽ハンバートハンバート佐藤良成 週末になると渋谷に出かけミニシアターで映画を観ていた高校時代の私にとって、カンヌの「ある視点」は”いい映画”の指標のような存在でした。その「ある視点」に「ぼくのお日さま」が選ばれるなんて、うれしすぎて恐ろしいです。

▽ハンバート ハンバート佐野遊穂 私たちの作品が、発表から10年後に一本の映画になり、それがカンヌ映画祭の出品作となって、またたくさんの人たちと出会う事になるなんて、こんな幸せなことはありません。子育てをしていると、子どもによって自分の世界が広がる事がしばしばあるけれど、それに似た感覚です。

▽奥山大史監督 光栄の至りです。「月の光」が繰り返し流れる本作ですが、カンヌのドビュッシー劇場が初上映の場になるとは夢にも思っていませんでした。物語のインスピレーションを与えてくださったハンバート ハンバートさん、ずっと力強く背中を押し続けてくださった池松さん、そして、共にこの映画を作り上げてくださった皆さん。ここまで連れてきていただき、心から感謝しています。