ピアニスト辻井伸行(35)が世界最古のクラシック音楽レーベルであるドイツ・グラモフォンと専属契約締結を決めて22日、都内で発表記者会見を行った。

126年の歴史を誇る同社で日本人ピアニストとのグローバル契約は初めて。 辻井は「子どもの時からグラモフォンのCDをたくさん聴いて育ってきたので契約ができて光栄です。責任感も感じています」とあいさつした。

来年初頭にベートーベンのピアノ・ソナタ第29番のファーストアルバムが発売されることも発表された。「歴史に残るようなCDを作りたい。世界へのスタートラインに立てたので、これからも精進をして頑張ります」と意気込みを語った。そして「小さいころから世界で活躍したいと思っていた。最初はベートーベンを録音しますが、いろいろな作品に挑戦したい。楽しみに待っていてほしい」と続けた。

88年に東京で生まれた辻井は幼少のころからピアノの才能に恵まれ、10歳でオーケストラと初共演。00年にソロデビュー。05年にショパン国際ピアノコンクールに最年少で参加して「批評家賞」を受賞。09年にはヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人として初優勝し、それ以降、世界的なアーティストや一流指揮者との共演を積み重ねてきている。

作曲家としても注目され、映画「神様のカルテ」(11年)で日本映画批評家大賞を受賞した。09年に文化庁長官表彰(国際芸術部門)。10年にホテルオークラ音楽賞と岩谷時子賞。13年に日本ショパン協会賞に選ばれている。

09年にヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝してから15年。これまでの活動を振り返り「20代のころは非常に若々しくて勢いがあった。30代になって音色の使い分けができるようになり、音楽に深みが出てきた。ゆっくりとした曲も表現力が少しずつついてきた」と自信を見せた。