ももいろクローバーZが13日、新潟・新発田市の五十公野(いじみの)公園で開催予定だった「ももクロ春の一大事2025 in 新発田市 ~新発田 新発見!?~」を、強風の影響で中止した。記者は自力でチケットを取っており、当日は客として新潟にいた。

天気予報でも強風は予想され、新潟市内でもかなり強い風が吹いていた。朝10時半ごろ、会場へ向かおうと新潟在住の友人の車に乗り込んだところで中止の発表が届いた。

中止の文字が目に入り、「うわマジか…」と絶句。自分自身がショックを受けたこともそうだが、ここまで長い期間をかけてステージを作り上げたももクロのメンバーやスタッフ、当日ステージで合唱を披露する予定だった子どもたち、そして長い準備期間を経てモノノフ(ファンの総称)を受け入れる体制を整えた地元の人々の無念さが、頭の中に浮かんだ。

それでも新発田には行ってみたい!と友人に頼み、まずは新発田城へと向かった。堀に沿って満開の桜が並び、思わず声が出るほど美しい景色が広がっていた。しかし、車を出ると体を持って行かれそうなほどの暴風。美しく咲いた桜も、枝ごと吹き飛ばされそうなほど激しく揺れていた。一瞬で「これはできないな」と察した。

次は会場の五十公野公園周辺へ向かった。暴風は収まっておらず、車から会場の中の様子を見ると、椅子が風で倒され、道路に面したテントも飛ばされそうで、開催は危険だとすぐにわかった。改めてメンバーやスタッフ、子どもたち、地元の人々の悔しさや悲しみが頭に浮かんだ。

しかし、モノノフにとって“春一”は年に1度の“散財イベント”。いかにして開催地にお金を落とすか、いかにして商店街を枯らして帰るか、多くのモノノフがこのことに全力を尽くす。毎年各地でとてつもない経済効果を生むその様子から、服装も相まってモノノフは“カラフルイナゴ”と呼ばれるようになっていた。

新発田の“一大事”に、このカラフルイナゴたちが立ち上がった。ライブは中止になったが、「よし、商店街枯らすぞ!」と言わんばかりに、商店街や新発田市役所周辺にモノノフが殺到。SNSでは「#中止になっても春の一大事in新発田」というハッシュタグとともに各飲食店の売れ残りの情報が拡散され、そこにモノノフが駆けつける構図に。

記者は車から商店街や市役所を通りながらその様子をながめていたが、多くのモノノフが商店街の飲食店で購入したであろう食べ物やお土産を手に街を歩いていた。さらに、フォトブースなどのある市役所では食べ物を手に談笑するカラフルイナゴが“大量発生”。そこに悲壮感は一切なく、笑顔と活気であふれていた。

思い返すと、最初に訪れた新発田城でも「この後新発田市内でどこ行こうかな」「お金使う時間増えたな」という声が多く聞こえ、城の正面に構えていた露店には行列ができていた。モノノフが総力を挙げてこのイベントを最大限楽しもう、新発田を盛り上げようとしていることが、伝わってきた。

「春の一大事」の昨年までのサブタイトルは「笑顔のチカラ つなげるオモイ」。ももクロがライブで伝えた笑顔や思いをモノノフはしっかり受け取り、外へとつなげていることを、自分の目で知ることができた。

もちろん記者も思いは同じ。カラフルイナゴの1人として「もっと美人になれる温泉」と呼ばれる月岡温泉に入り肌をスベスベにし、日本酒を何合も飲み、絶品の刺し身や米を堪能し、最後は新潟県産の米5キロを抱えて東京へ帰る新幹線に乗り込んだ。

中止になっても楽しい思い出ばかりの、奇跡のような春の一大事になった。【野見山拓樹】