お笑いコンビ、エバース(佐々木隆史=33、町田和樹=33)が「第11回上方漫才協会大賞」の大賞に選ばれた。
昨年は舞台での活躍に加え、ABCお笑いグランプリ優勝、M-1でも2年連続ファイナリストと、年間を通して文句なしの活躍。上方漫才協会会長の中田カウスは「作るネタ作るネタすばらしい。本当に力を付けた」と評価した。関係者の間でもエバース、ツートライブ、ロングコートダディあたりが濃厚という見立てが強かったので、エバースの受賞には納得もいった。
なお、各賞の発表が行われるのは年が明けた1月。大賞は、年間を通しての活躍や上方漫才への貢献など、さまざまな視点で評価されるため、年末年始のテレビ番組などに引っ張りだこになる前年のM-1王者でも落選する。18年のM-1王者、霜降り明星は19年の上方漫才協会大賞で特別賞、19年のM-1王者ミルクボーイも20年の上方漫才協会大賞では話題賞にとどまった。
今回も25年のM-1準優勝のドンデコルテこそ文芸部門賞を受賞したが、優勝のたくろうは部門賞すらなかった。吉本関係者も「M-1で一気にブレークしたけど、それまでは際だった活躍を見せてないですからね」と話す。
ただ、ミルクボーイは翌21年に大賞を受賞しており、今年1年の活躍が見込まれるたくろうは、来年の上方漫才協会大賞の大賞最右翼といえそうだ。
話が脱線したが、上方漫才協会は、大阪のお笑い文化の継承と発展のため、若手漫才師の育成とサポートを目的に14年に発足。芸を磨く場所として、よしもと漫才劇場が作られた。
これまで、NSC大阪校を卒業後、東京に活動拠点を移したすゑひろがりずや、逆に、NSC東京校卒業後に関西に拠点を移したドーナツ・ピーナツが大賞を受賞したことはあるが、NSC東京校卒業で活動拠点が東京、つまり大阪にゆかりのないコンビが、大賞を受賞したのはエバースが初めてだ。
カウスは「東京、大阪にかかわらず、若い子のために考えて作らせていただいた『よしもと漫才劇場』。ここがなければ芸人としての足腰を鍛えられなかったと思う。上方漫才協会、“上方”と付いてますけど、東京も一体のもの。よしもと漫才劇場を足掛かりに、皆が励みになるために考えた協会大賞なので、作らせていただいた会社には感謝したい」。さまざまな逆風の中でも、劇場経営に強いこだわりを貫いてきた吉本興業ではあるが、若手のために、よしもと漫才劇場、神保町よしもと漫才劇場、森ノ宮よしもと漫才劇場、渋谷よしもと漫才劇場を作り上げたことを感謝した。
元々、カウスは上方漫才協会を作った際、大賞について「力をつけている漫才師がいない年はやらない。毎年、すばらしいやつが出るとは思わないので、休む年もあるかも」と、必ずしも毎年、行う必要はないとの考えを示していたが、「ちょっとしぼんできたり、揺れ動いたりはするんですけど、今年の新人賞のコンビを見ていて、将来に不安がない」ときっぱり。
その理由について「それも劇場があるということなんですよ。劇場がなく力をつけてきたコンビを賞レースで見ていると、すばらしい形を見せてはくれるんですが、漫才は型破りでないとダメ。それが、これくらい(新人賞)のレベルでもできている」と説明。「エバースのように、(横山)エンタツ・(花菱)アチャコ師匠がお作りになったしゃべくり漫才、掛け合い漫才がきちんとできているというところが僕としてはうれしい」と目を細めた。
賞レースでの吉本芸人の強さは今後も続きそうだ。【阪口孝志】



