LUNA SEAのドラマー真矢さんが亡くなった。56歳だった。記者とは1歳違いで、ともにゴルフをプレーしたことのある数少ない芸能人の1人だった。
だが、ゴルフについては、正直あまり記憶がない。というのも、元ドラマーでもあった記者が、ほとんどドラムの話を聞いていたからかもしれない。今にして思えば、せっかくドラムを離れて自然の中にいたのに、申し訳ないことをしていたのかもしれないと、今更ながら後悔している。
それくらい、真矢さんのドラムは強烈だった。記者が現役でドラムをたたいていたころ、記者にとっての“神”は08年に肝細胞がんで亡くなったラウドネス樋口宗孝さんだった。真矢さんは、ドラムを離れた後に「な、何だこの人!? すげぇ…」とひかれた存在だ。その話をすると「樋口さんと一緒? めっそうもない」と恐縮していた。
では、真矢さんのドラムの何がすごかったのか。あくまでも個人的意見だが、タイトかつシャープなリズム感と“魅せる”ドラムだ。前者でいうと、樋口さんには、独特かつヘビーなグルーヴ感があった。真矢さんは樋口さんと比べるとやや軽めだったかもしれないが、日本刀のような鋭い切れ味があった。
これはどっちがいいという話ではないが、真矢さんにそんな話をすると「ダイエットをしたら軽くなったので、ダイエットを辞めた」と笑っていた。
その一方で、後者は共通していたし、ある意味樋口さん以上だった。真矢さんは、記憶が正しければ、日本人で唯一、ドラムソロでドラムセットを空中で回転させたドラマーだ。ドラムはバンドの後ろで動かないものという固定観念をぶち破り、ドラムソロをSHOWに昇華した。
80年代、モトリー・クルーのトミー・リーがドラムソロで、ドラムセットを回転させた写真が出回ったときはぶっ飛んだ。今のようにWEBがない時代で、雑誌「BURN」か「ロッキンf」だったと思うが、連続写真は圧巻だった。
まさか、あれを日本でやるドラマーが出てくるとは思わなかった。「メチャクチャお金がかかった」と話していたが、いろいろ調べてみると3000~3500万はかかっていたようだ。それでも、ファンを楽しませようという気概がファンの胸を震わせた。
ドラムソロの内容も毎回違った。決して数多くのステージを見ているわけではないが、少なくとも見たステージは毎回違った。「最後の“ドンで真矢!”はお決まりだけど、それ以外は決めていない。その場のフィーリング」。サラッという真矢さんがメチャクチャかっこよかった。
また、「歌を邪魔するドラムはダメ」とも話していた。真矢さんはあくまでも歌を立てていた。自らもボーカリストとしてソロアルバムを発売。「歌ってみて呼吸の瞬間がものすごくドラムにも大事かもしれない。音を出しているところ以外が大事だと初めて気付いた」。もはや、記者には理解できない領域だが、イメージとしては、何となく分かるような気がした。
そんな真矢さんのドラムがあったからこそ、LUNA SEAのサウンドは確立された。間違いなく、真矢さんのドラムがLUNA SEAの心臓だった。
その真矢さんが胸を張ってその座を任せたのがSIAM SHADEの淳士(52)だ。重圧もあるだろう。だが、「LUNA SEAを絶対に止めないでほしい」という真矢さんの願いを実現していってほしい。【川田和博】



