フランスで開催中の世界3大映画祭の1つ、第79回カンヌ映画祭で最高賞パルムドールを競うコンペティション部門に出品された、是枝裕和監督(63)の新作映画「箱の中の羊」(29日公開)の公式上映が16日、行われた。
主演の綾瀬はるか(41)は、2015年(平27)にコンペ部門に出品された「海街diary」以来、是枝監督と11年ぶりのタッグで、その時以来のカンヌ映画祭参加となった。上映後は9分ものスタンディングオベーションが起きた公式上映を振り返り「上映中『ここで笑いが起こるんだ』とか、反応が日本の方とは違って、それがすごく新鮮でした。それも含めて一緒に体感できたのがとても面白かったです」と感想を口にした。その上で「是枝監督とは『海街diary』の時以来2度目なんですけど、こんな感じだったかなと思い返していました。皆さんがどういう風に見て感想を持たれているんだろうというのも、表情を読み取りながらいろんな人を見ていました」と、11年ぶりのカンヌで、肌で感じた思いを感慨深げに語った。
ともに主演した、お笑いコンビ・千鳥の大悟(46)が「レッドカーペットで、外国の方がみんなコレ・エダ、コレ・エダって」と口にしたように、レッドカーペットでは是枝監督に大声援が飛び交った。「僕が昨日の街でロケしていましたけれども日本人というだけで『コレ・エダか?』と聞かれ、『おれはコレ・エダではない』と。是枝の映画には出たぞと言っても、何を言っているんだみたいなことは言われましたけど、それぐらい(すごい)」と口にすると、綾瀬にも、是枝監督の人気を感じたか? と質問が飛んだ。綾瀬は「もちろん呼びかけとかも声援もそうですし、あと、やっぱり上映で見ているお客さんが本当に監督の作品が好きで、すごく期待を込めて、みんなすごい真剣に見てらっしゃるなっていうのが伝わってきて。やっぱり世界の是枝さんだったんだなって思います」と、同監督のすごさを端的に表現した。
「箱の中の羊」は、24年春に中国で死者のよみがえりビジネスが人気という記事を読んだ是枝監督の中に湧いた「最新のテクノロジーで死者をよみがえらせる」という発想が出発点となり、同年秋にビジネスをしている人に会い原案・脚本から手がけた。そう遠くない未来が舞台で、綾瀬が演じた建築家・音々と、大悟が演じた工務店の2代目社長を務める健介の甲本夫婦が、息子を亡くして2年のタイミングで、桒木里夢(くわき・りむ=10)が演じた息子・翔の姿をしたヒューマノイドを自宅に迎え入れる物語。
綾瀬は、子供との関係はどのように演じたかと聞かれると「今回は人間ではなくヒューマノイドの子供ということだったんですけど、最初はその温度感とか、その知能がどこまで理解しているのかというところを探りながらなので、不思議な感じはありました」と物語と役どころへの率直な印象を語った。その上で「が、撮影しながら、やっぱりヒューマノイドなのだけれど、1人の人というか個性を持った存在としてお芝居していく感じがあって。そこは役の音々さんに通じるところがあるのかなと。私自身も一緒に変化していく部分があったりしました」と撮影中の心境を明かした。
◆「箱の中の羊」 息子を亡くして2年。建築家の音々(綾瀬はるか)と工務店の2代目社長・健介(大悟)の甲本夫婦は、息子・翔(桒木里夢)の姿をしたヒューマノイドを迎え入れることになる。到着した日、「おかえり」と駆け寄り喜びを隠さない音々と、戸惑いを隠せない硬い表情の健介。「パパだよね」と問いかけられた健介は、「おじさんでええよ」と答える。ほどなく予期せぬ事態が起こり、夫婦がそれぞれに抱く息子の死への思いがあらわになっていく。夫婦が大きな決断に迫られる中、ヒューマノイド翔はひそかにヒューマノイドの仲間たちとつながり始める。



