日本舞踊家で女優の藤間紫(ふじま・むらさき、本名喜熨斗綾子=きのし・あやこ)さんが27日午後5時26分、肝不全のため東京都文京区の病院で死去した。85歳。東京都出身。葬儀・告別式は4月末に行う予定で、場所は未定。喪主は夫で歌舞伎俳優の市川猿之助(いちかわ・えんのすけ、本名喜熨斗政彦=きのし・まさひこ)氏。

 父は6代目尾上菊五郎の主治医で元日本医大学長の河野勝斎氏。幼いころから舞踊家を目指し、日舞藤間流6代目宗家藤間勘十郎(後の勘祖)さんの内弟子となり、後に結婚した。

 舞踊活動の傍ら、女優としても活躍。「三等重役」「へそくり社長」など喜劇を中心に数多くの映画に出演した。

 新国劇や商業演劇など舞台出演も多く「墨東綺譚」「父の詫び状」「西太后」などで存在感を示し、高い評価を受けた。菊田一夫演劇大賞、読売演劇大賞最優秀女優賞などを受賞。94年には勲4等宝冠章を受章した。80歳を超えても舞台に出演、話題となった。

 離婚後、宗家藤間流を離れ、紫派藤間流をつくり、家元に。00年に猿之助さんと再婚、猿之助門下の若手俳優を指導した。著書に「修羅のはざまで」がある。

 [2009年3月28日3時14分]ソーシャルブックマーク