歌手佐良直美(65)が、27年ぶりに新曲「いのちの木陰」(11月24日発売)を発表し、芸能界復帰することが23日、分かった。69年に「いいじゃないの幸せならば」で第11回日本レコード大賞を受賞し、NHK紅白歌合戦の紅組司会を5回も務めるなど国民的歌手、女優として一世を風靡(ふうび)。だが、スキャンダルから80年代後半に芸能界から姿を消し、実業家に転身していた。佐良は「歌の世界にささやかなご恩返しができれば」と話している。

 四半世紀を経ての、まさに復活だ。相良は60年代末から70年代にかけて、国民的な人気を博した。だが、80年に交際に関するスキャンダルが報じられ、否定し続けたがイメージは低下。その後も活動は続けたが、83年の「YASUKOの場合」以降、新曲発表はなくなり、芸能界から姿を消した。

 現在は、栃木県那須塩原市(旧黒磯市)で、家庭犬のしつけ教室「アニマルファンスィアーズクラブ(A.F.C.)」を主宰している。以前から罪もない動物たちが捨てられ、命を奪われたりすることに心を痛めていたという。また、18年前には、飼い猫がおなかに飛び乗った際違和感を感じ検査を受け、卵巣がんが発見された。「私は彼らに生かされている」と強く感じ、残りの人生を動物にささげることを決意。捨て犬・猫を減らす手段の「飼い主教育」のため、インストラクターの資格を取り、A.F.C.を設立した。

 そんな佐良の復帰のきっかけは3年前。「聖母たちのララバイ」(岩崎宏美)「時間よ止まれ」(矢沢永吉)などで知られ、かつて佐良と同じ事務所だった作詞家山川啓介氏(65)が那須塩原市を訪ねた。約20年ぶりの再会だった。佐良の生活を実際に見た山川氏は「佐良さんの広げた両手やおおらかな愛情は、目に見えない木陰。傷つき、疲れた、弱い生命たちが木陰で安らぎ、まどろみ、また生きる力を取り戻す。犬も猫も、人間も」と感じ、その後「いのちの木陰」を作詞。佐良も「私の祈りが込められた歌。この作品にめぐり会い、私を育ててくださった歌の世界に、またタイムトラベルしてみようという気持ちになりました。今は別の世界に住む私からの、ささやかなご恩返しです」と復帰を決意した。

 声は多少太くなったが、音域、声量は衰えていない。所属レコード会社のビクターによると、オファーがあればテレビ出演も検討するという。紅白の功労者だけに、紅白復帰も話題になりそうだ。

 [2010年9月24日8時39分

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