【ニューヨーク3日(日本時間4日)=林尚之】世界で初めて、女性だけによるミュージカル「シカゴ」が今年11月に東京と大阪で上演されることが、同作をロングラン中のアンバサダー劇場で発表された。宝塚歌劇100周年記念公演OGバージョンで、この日、カーテンコールにビリー役の男装姿で登場した姿月あさと(43)は、「いつかブロードウェーで上演できれば」と夢を膨らませた。

 カーテンコールでビリー役の男装姿で舞台に登場した姿月の表情はこわばっていた。「43年生きた中で一番の緊張でした」。ヴェルマ役のアムラ・フェイ=ライトが「日本でオール女性による『シカゴ』の上演が決まりました」と報告。満員の観客から拍手と驚きの声が上がる中、姿月は英語で「日本に見に来てください」と呼び掛けた。

 「シカゴ」は、ボブ・フォッシーの演出・振り付けで75年に初演され、96年のリバイバル版がロングランを続け、ブロードウェー史上3位の7000回公演を超える人気作品。日本でも上演が繰り返され、米倉涼子がロキシー役でブロードウェーデビューしている。

 その「シカゴ」を創立100周年の宝塚歌劇団OGの女性だけで上演することになり、姿月がカンパニーを代表し、ブロードウェーに乗り込んだ。同作を女性だけで上演すること自体が世界初。使命を果たした姿月は「ブロードウェーの舞台に立っていることが信じられなかった。OGを代表する責任、宝塚の歴史の重みで今まで味わったことのない緊張感だった」と振り返った。

 ビリー役は峰さを理(61)麻路さき(48)と姿月、ヴェルマ役は和央ようか(45)湖月わたる(42)水夏希(41)、ロキシー役は朝海ひかる(42)貴城けい(39)大和悠河(36)と男役トップスターがトリプルで集結する。そのほかの役もOGで固める。

 「シカゴ」のプロデューサーのバリー・ワイズラー氏は「『シカゴ』は22カ国語で上演され、映画にもなったが、女性だけの上演はなかった。歴史的な公演になる」と話し、男装姿の姿月を「過去で一番魅力的なビリーだ」と褒めちぎった。姿月も「今日がスタート。この日の観客の1人でも日本で見てくれればうれしいし、いつかブロードウェーでやってみたい」と意欲を見せると、バリー氏も「ブロードウェーでも女性版『シカゴ』を見てみたい」と乗り気になっていた。

 ▼「シカゴ」

 1920年代のシカゴを舞台に、愛人を殺害し投獄されたロキシー、マスコミの注目を集める女囚ヴェルマ、彼女たちを巧みにあやつる弁護士ビリーを主人公にした作品。「ラズル・ダズル」などの名曲、フォッシースタイルと呼ばれるセクシーなダンスで人気を集める。今回は、11月1~9日は東京国際フォーラムのホールC、同19~30日は大阪・梅田芸術劇場で上演される。