NHKは4日、連続テレビ小説「マッサン」(9月29日スタート、月~土曜午前8時)の主役夫婦に、玉山鉄二(33)と米女優シャーロット・ケイト・フォックス(28)を起用すると発表した。朝ドラでは初の外国人ヒロインとなる。2人はこの日午前に大阪、午後に東京で行われた会見に出席した。フォックスは日本語を学んだ経験がなく、収録開始までの約2カ月間に特訓するという。

 53年の歴史で初の外国人ヒロインが誕生した。フォックスは東京・渋谷のNHKで行われた会見に玉山と腕を組んで登場した。「コンニチハ。ヨロシク、オネガイシマス」。あいさつは日本語だったが、その後の質疑応答は通訳を介して行われた。

 祖母が役柄と同じスコットランド人で、両親は米国人。既に結婚しており、夫を米ノースカロライナに残した単身赴任となる。出身は米ニューメキシコ。「田舎生まれで両親はヒッピー世代でテレビもなかった。何もないところで想像力を使って遊んできた」。演技に興味を持ち、大学で演劇を学んだ。卒業後に本格的に女優の道に進み、米国ではミュージカル「シカゴ」の地方公演で主演を務めたこともあり、映画やドラマにも出演した。

 「マッサン」はヒロインを欧州中心にネットなどでオーディション参加者を募集。海外289人、国内232人の応募があった。フォックスは1月下旬、最終オーディションで初来日し、ヒロインの座を射止めた。この日は「すごく名誉なこと。信じられない。私がやっていいのか」と話した。スコットランドから来日し、国産ウイスキー作りに奮闘する夫を支える妻を演じる。「夢を追って全く知らない土地に来たヒロインと境遇が似ている。私も役者の夢のために日本に来た」。日本の印象は「食事がおいしい。昨日はフカヒレを食べました」。

 今月3日に初対面した玉山は「いきなりハグされた」と明かした。フォックスは「私は誰でもハグします。これからもずっと彼をハグしていきます」と夫婦役の気持ちを高めていた。

 同局は、演技力と3分以上の日本語せりふの台本を短期間でマスターした能力、コメディーのセンスなどが起用理由と説明した。日本語を学んだ経験はなく、5月の収録開始に向けて日本語の特訓を受ける。玉山も「言葉を始め、いろんな壁にぶつかると思う。僕が少しでも支え、全面的にバックアップして助けてあげたい」と話した。

 ◆「マッサン」

 ニッカウヰスキー創業者の竹鶴政孝とスコットランド出身の夫人をモデルに大正から戦後までの夫婦の奮闘記を描く。ウイスキー造りに目覚めてスコットランドに渡った男が同地の女性と恋に落ち、駆け落ち同然に国際結婚。日本で挫折を味わいながら、日本人として生きる妻は夫を支え、夫は妻を守りながら日本初のウイスキー造りという夢に向かって奮闘する。<朝ドラの異色ヒロイン>

 ▼高学歴

 80年「虹を織る」の紺野美沙子は慶大文学部卒。

 ▼途中交代

 77年「いちばん星」は体調不良の高瀬春奈に代わり五大路子が登場。94~95年「春よ、来い」は体調不良の安田成美に代わり中田喜子が務めた。

 ▼双子のダブルヒロイン

 96年「ふたりっこ」と08年「だんだん」の2作で三倉茉奈、佳奈がヒロインを務めた。

 ▼女優デビュー

 98~99年「やんちゃくれ」の小西美帆、04年「天花」の藤沢恵麻は演技未経験で抜てきされた。

 ▼最年長

 06年「芋たこなんきん」で当時47歳の藤山直美がヒロインを務め、ヒロインの老後を演じた女優を除くと最年長だった。

 ▼長身

 放送中の「ごちそうさん」で身長174センチの杏は、189センチの東出昌大と朝ドラ史上、最高身長カップル。