7月4日に投開票された東京都議選は、事前予測として自民党や各メディアなどが出した「都民ファーストの会惨敗&自民と公明で過半数超え」の見立てが全部ひっくり返る、番狂わせの結末だった。1ケタ予想もあった都民ファは、改選前の45議席から14議席減らしたが31議席で踏みとどまり、2度の調査でともに50議席以上と予測していた自民党はぶっちぎりどころか、都民ファとまさかの第1党争いがやっと。自民党の都議選33議席は、4年前の都議選で獲得した23議席に次ぐワースト2の数字という。
都民ファーストの会特別顧問を務める小池百合子知事がどこの支援も明言せず、都議選告示直前に入院。投開票日の4日前に退院し、前日に都民ファが自公と争う激戦区を含めて電撃的に「顔見せ応援」に回った。最終日に動くことには小池氏周辺にも賛否両論あったようだが、「票が動く」と焦った自民党関係者も多かった。結果的に、小池氏がこれまで展開してきたような「小池劇場」の舞台はしつらえない「小池不在劇場」だったが、最終日の顔見せで小池氏の存在感があらためて印象づけられた。
「小池不在劇場」の今回の選挙中、「小池知事との連携」「小池知事と力を合わせて」と連呼する都民ファーストの会の候補者もいた。戦うのは自分自身だろうが、小池人気を使わない手はない。そんな「風頼み」の雰囲気も、まだ残っていたように感じた。
一方、小池氏には触れずに戦った候補もいた。小池氏の秘書出身で、練馬区で2度目の当選を果たした尾島紘平氏(32)。期間中、1度だけ街頭に立った演説でも「ワクチン接種をとにかく進めたい」と、新型コロナ対策が中心だった。
尾島氏は小池氏が都知事選に出馬した際に行動をともにし、結果的に自民党から除名された「7人の侍」といわれた練馬、豊島(小池氏の選挙区)区議の1人。前回、初当選した都議選でも小池氏との関係などには触れず、今回も封印した。
2度目の当選を決めた尾島氏は話す。「『風』で勝った候補者というのはその後、強くならないし、地元からも頼られない。4年前の選挙の時点で危機感を持っていた。『看板』は封印して戦い、この4年もそれを意識して続けた。(勝てたのは)支援者の皆さんのおかげです」。選挙中、選挙区内にある小池氏の自宅前を通りかかった時にあいさつに出向き、支援者がサポートしてくれていると伝えると、小池氏は涙ぐんでいたという。
確かに、この先、小池氏頼みの議員生活が永遠に続くことはない。「風」に乗れる期間にも限界がある。尾島氏は、小池氏を「都民ファーストの会にとっては象徴。都政を進めていくパートナーであり、師、親」と述べたが、小池劇場で圧勝した前回と様子を変えた「不在劇場」で、都民ファーストの会は議席を減らした。勝ち上がった候補者の数は、どうしても小池氏と直接リンクして語られる都民ファーストの会の「本来の姿」として、表れたものなのかもしれない。
都民ファーストの会は都議会第1党を逃した。「少数与党になれば、今までより確実に厳しい議会運営になります」(尾島氏)。そんな環境の中で、小池氏はどう立ち回るのだろうか。2度目の都議選を終え、新たに幕が開くだろう「小池劇場」2幕は、第1幕よりもっとドラマがあるのかもしれない。


