大阪府警富田林署から勾留中の無職樋田(ひだ)淳也容疑者(30)が逃走した事件は26日で発生から2週間がたった。府警は加重逃走容疑で全国に指名手配し、捜索を続けるが、有力な手掛かりはなく、足取りは依然不明のままだ。府民らは逃走の長期化に「早く捕まえて」と、不安を募らせている。

26日午前、樋田容疑者の実家がある大阪府松原市内の公園で5歳と10歳の娘を遊ばせていた女性(37)がため息をついた。「ここ2週間、外で遊ばせるときは必ず付き添っている。猛暑と逃走犯。今年の夏休みは子どもたちにはダブルパンチ。早く捕まえてほしい」。逃走から2週間、府警は府内全域を約3000~4000人態勢で捜索しているが、手掛かりがない。

樋田容疑者は土地勘のある府内で巧みに捜査網をすり抜けているとされる。実家の近所の住民によると、樋田容疑者は3人きょうだいの次男。父は十数年前に亡くなっている。近所の主婦(64)は「両親は子ども同士のトラブルでも口を出すことが多かった。(樋田容疑者は)かなり過保護に育てられていた。小学時代は目立たず、どちらかと言えば慎重な性格。ただ中学時代から悪さをするようになった」。中学時代の同級生は「とにかく調子がよかった。強い者には下手に出て、弱い者には上から目線だった」と話した。

一方で新たな足取りも分かってきた。逃走直後、実家近くにあるガレージに戻っていた可能性がある。ガレージは逮捕前、知人の名義で契約し、ソファを持ち込み生活していた拠点だった。逃走後の12日午後8~9時ごろ、富田林署近くで赤い自転車を盗み、約6キロ北の羽曳野市内で自転車を乗り捨て、約4キロ離れた実家がある松原市へ。ガレージから約30メートル離れた民家から黒いミニバイクを盗んだとみられる。

民家の住民は「カギはつけっぱなしだったかも。ガソリンはほぼ満タンだった」。カギをつけたままのときもあるといい、住民は「以前から観察されていたのかも…」と話した。

13~15日には羽曳野市や大阪市南部で黒いミニバイクによるひったくり事件が計4件相次いだ。同容疑者が逃走後に関与したとみられるひったくりの現金総額は約4万円。本格的な逃走準備のため最初に松原市の拠点に戻ったとみられる。一方で15日を最後に1週間以上新たな犯行はない。近所の住民は「悪い仲間にかくまってもらっているのかも…」。府民の不安な日々が続く。【松浦隆司】