小泉純一郎元首相は8日、都内で行われたBS朝日の公開収録で、安倍晋三首相の政治姿勢について「できないことをやろうとして、できることをやろうとしない。分からない」と苦言を呈した。

「できないこと」に、首相が意欲を示す憲法改正を挙げ「憲法改正なんか、自民党だけでできるわけがないですよ。野党と協力してやらなきゃ」と述べ、与野党協議なしに進める手法に否定的な認識を表明。

「できること」には持論の原発ゼロを挙げ、「今、原発をゼロにすると言えば国民も野党も支持する。なぜやらないのか。チャンスじゃないか」と述べ、「経産省に判断を任せているが、安倍さんも分からないといけない。原発ゼロはできる」と断言。

「感度が鈍いというか判断力が悪いというか。(東京電力福島第1原発事故を)目の当たりにしながら原発に頼るなんて、どうかしている」と首をひねった。

一方、来年の参院選について「野党が統一候補を出して、原発ゼロを掲げて選挙の争点にすれば、自民党は危ない」との見方を示した。先月の自民党総裁選で首相と戦った石破茂元幹事長について、「なぜ原発ゼロを言わなかったのか。歯がゆかったね」とも打ち明けた。【中山知子】