東京・池袋の都道で昨年4月19日に乗用車が暴走し、松永真菜さん(31)と長女莉子ちゃん(3)がはねられて死亡した事故で、東京地検は6日、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長(88)を在宅起訴した。

松永さんの夫(33)は同日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、被害者参加制度を用いて裁判に参加する意向を明らかにした。その上で「私は真実が知りたい。なぜ、2人が命を奪われなければならなかったのか、真実を明らかにして欲しいと願っています。法廷内で、加害者に妻と娘の命の尊さを知ってもらいたい。当時の状況を本人の口から正直に、しっかりと話してもらいたい」と訴えた。

また、松永さんは「この10カ月間、悲しみと苦しみの中で、もがきながら、ようやく1歩が踏み出せる思い。在宅起訴であっても、裁判まで長引かないようにしていただきたい」と早急に裁判が開かれ、終わることを望んだ。代理人の高橋正人弁護士も「早く裁判を終わらせて欲しいので、公判前整理手続きは、やって欲しくない」と被害者側の希望を説明した。

松永さんは、この日の昼に東京地検からの連絡で飯塚元院長の在宅起訴を知った。上司に半休を願い出て、その足で会見を開いた。昨年11月12日に警視庁交通捜査課が書類送検した際には、起訴を求める「厳重処分」の意見を付けていたが「私は、起訴になってくれるだろうと信じていましたが、不安は確かにありました。やっと1歩。そこの不安がなくなった」と揺れた思いを吐露した。

裁判でしたいことを聞かれると、松永さんは「加害者と面と向かって話したことがない。真実を知りたいという意味で、加害者に真実を語っていただければと思うので質問はしたい」と質問を希望。その上で「もちろん、2人の命と向き合って真実を正直に述べて欲しい。それが2人の無念だけでなく、社会にとっても有益だと思うので」と語った。

さらに「遺族として、真実を明らかにして命が戻らないことは重々、分かっているんですけど、真実が明らかになることによって、今後の社会で事故の再発防止にはどうしたらいいか1つの種になる。そういう裁判になって欲しい」と、今回の裁判が自動車事故をなくすことにつながるものになることを望んだ。高橋弁護士が「(アクセルとブレーキを)踏み間違えるのには、きっかけがある。それが何なのかをきちんとお話ししていただきたい。そうしないと、高齢者の事故の予防に使えなくなる。そこは正直に話して欲しい」と声を大にすると、松永さんは「同感です」と口にした。

飯塚元院長が在宅起訴されたことで、検察側が取り調べ請求する予定の証拠類は全て閲覧、謄写できるようになる。松永さんは「見たくない部分もあると思う。つらいと思うんですけど向き合う。(事故当日)気が付いたら2人の遺体があった。真実を知りたい。あとは戦うだけ」と前を見据えた。【村上幸将】