新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化している北海道で、鈴木直道知事は28日、道民に今週末の外出を控えるよう呼び掛けるなどの「緊急事態宣言」を出した。自治体のトップが、一般市民に対して、広く外出自粛を呼び掛けるのは異例で、危機感はピークを迎えた。

鈴木知事は、緊急事態宣言を2月28日から3月19日までとした。その上で「状況はより深刻さを増している。早期の終息、命と健康を守るため、この週末は、外出を控えてください」と訴えた。特に飲食店やスポーツジムなどでの接触の可能性に言及し、注意を促した。

理由として、27日に感染を発表したオホーツク地方の70代男性が北見市であった展示会で別の感染者5人と濃厚接触しており、感染者の集団(クラスター)が発生している可能性があることを挙げ「地域間での感染拡大のおそれが出てきている」と指摘。また軽症の人が移動して感染が拡大しているケースもあるとし、体調不良時は仕事を休むよう要請もした。

北海道では28日に新たに10歳未満の男児を含む12人の感染も判明し、感染者は計66人と全国最多となっている。道内のすべての小中学校は28日から臨時休校にした。鈴木知事は「まさに今がヤマ場。1日も早く終息させる必要がある」「子どもたちには外出を控えてもらっており、大人も同じようにして道民一丸で、週末、取り組みを進めたい。極めて深刻な状況と認識し、行動してもらうよう協力をお願いしたい」と強調した。

異例の緊急事態宣言を受けて、市民にも動揺が広がった。旭川市の40代女性は「雪まつりなどのイベントで感染が広まった可能性は高い。もっと早い段階で対策ができたのでは。いまさら宣言を出されても」と批判。札幌市の繁華街ススキノの飲食店店長は「街は人影がまばらで、団体客の予約キャンセルが出ているのに、道民も外出を控えられたら…」と不安そうだった。

◆緊急事態宣言 地方自治体が「緊急事態宣言」などを出すときは市民への強い注意喚起や行事の中止・延期などの要請がほとんど。09年新型インフルエンザ流行で兵庫県が出した「緊急事態宣言」、10年口蹄疫流行で宮崎県が出した「非常事態宣言」などがある。世界保健機関(WHO)は「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言することがあり今回も1月末に宣言した。