新型コロナウイルスの感染拡大の影響で多くの事業者が売り上げを大きく落とす中、静岡・浜松市中区のミニシアター「シネマイーラ」がこのほど、インターネットを経由して資金を調達する「クラウドファンディング」を行った。館主の榎本雅之さん(66)は「うちは毎月、自転車操業どころか1輪車操業で、ギリギリのところでやっている。生き残りのために始めました」と、打ち明けた。
シネマイーラは、前身となる「浜松東映」閉館後の2008年(平20)12月に開館。当初は赤字経営が続いたが、3~4年前から黒字に転じていた。だが、ウイルスの広がりに従って、来場者が減少。主な客層が高齢者ということから、先月末にタレントの志村けんさんが亡くなったことが引き金となり、さらに客足は遠のいた。金融機関から緊急融資を受けたが、3月の売り上げが前年同月比で約50%。今月は、同約10%の想定となったことで、クラウドファンディングへと踏み切った。
目標金額500万円で開始されたが、わずか1日足らずで同額を突破。支援総額は、すでに1000万円を超えた。現金書留や手渡しによって資金を提供する常連客もいる。そんな状況に榎本さんは、表情を引き締め「本来、お金はもらうものではなく、稼ぐもの。申し訳ない思いとともに、プレッシャーを感じています」と話した。
資金募集は来月27日まで行うが、当面の運転資金は確保した。しかし、他の懸念材料に触れ「現在、世界中で映画制作が止まっているので、上映する作品がなくなってくるはず。上映予定だった作品も公開延期になったりしている」と、険しい表情。事態終息の見通しも立たないことから、25日以降は休館し、再開は未定だ。厳しい状況が続いていくが、「何があろうと、やるしかない」と前を向いていた。【河合萌彦】

