米大統領選の激戦州の1つ、東部ペンシルベニア州のフィラデルフィアで26日、黒人男性が警官に射殺された。その動画がネットで公開されると、警官の対応が過剰だったなどとして、抗議デモが発生。一部が暴徒化し、警察車両などを破壊。警官約30人が負傷し、逮捕者も数十人に上るなど緊張が高まっている。

米国の報道によると、男性はウォルター・ウォレス・ジュニアさん(27)で、ナイフを持っていた。通報でかけつけた複数の警官はナイフを捨てるよう警告したが、近づいてきたため発砲したと説明した。銃声は複数。ウォレスさんは精神が不安定な状態だったという情報もある。現場には母親もいたという。市民からは、なぜスタンガンなど殺傷力の低い武器を使わなかったのか、手足などを狙わなかったのかなどの批判が噴出。抗議デモが続き、一部が警官に投石したり、略奪行為に及んでいる。

同州は11月3日の大統領選の激戦州で、全体の結果に影響を与える可能性も指摘されている。また今回は人種差別が大きな争点となっている。選挙が目前に迫る中で起きた事件だけに、影響が注目されている。