立憲民主党など4野党が15日、菅内閣に対する内閣不信任決議案を共同提出したが、同日午後の衆院本会議で自民、公明両党、日本維新の会などの反対多数で否決された。

自民党の二階俊博幹事長は同決議案が提出されれば、「ただちに解散」と明言してきたが、菅義偉首相は新型コロナ対策を優先させるため、あす16日に会期末となる今国会での衆院解散を見送る判断を下した。

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安倍晋三前政権下の2019年6月以来、2年ぶりの内閣不信任決議案提出は緊迫ムードなく、否決された。採決に先立って立憲民主党の枝野幸男代表が筆頭で趣旨説明を行い、与党席から痛烈なヤジが飛び交ったが、緊張感はない。議場内で立ち話する議員や、議場から一時退席してスマホで電話連絡を行う議員の姿があるなど、のんびりムードが漂っていた。

緩みは二階発言と同時に広がった。内閣不信任決議案が提出された場合に「ただちに解散」と断言していた自民党の二階幹事長は本会議前、菅首相との協議で不信任案の否決を要請された。これを受けた二階幹事長は「(解散は)首相自身が決めることで、我々はいつでも結構」などとした上で「常識的には、この時期はないだろう」と今国会中の解散を否定。急転政局も、という緊張は消えた。

ある自民党幹部は、趣旨説明中に議場から控室に移動し、「やっぱり(解散は)ないのかな(笑い)」と、笑顔でジョークを飛ばした。G7から前日14日に帰国したばかりの菅首相は長旅の疲れや、時差ボケもあるのか、ずっと目を閉じ、腕組みをして各党の演説に聞き入った。枝野代表も演説で「菅(かん)総理」と、言い間違え、すぐに「菅(すが)総理」と訂正。この時ばかりは与野党の垣根を越えた爆笑でなごんだ。議場で、菅(かん)直人元首相も苦笑いだったかも知れない。

永田町の動きは一段と活発化する。次期衆院選を占う東京都議選(25日告示、7月4日投開票)、菅首相が政権浮揚を狙う東京五輪・パラリンピックは7月23日から9月5日まで開催予定。9月に自民党の総裁選、10月21日に衆院の任期満了を迎える。東京五輪・パラリンピックを避け、菅首相は9月30日の総裁任期満了までに衆院解散の意向を示している。また任期満了でワクチン接種が浸透した11月選挙の可能性もある。自公政権の死守へ向けたシナリオ通りとなるか。【大上悟】